研究

世界をどう認識するか

忘れないうちに書いておく;数ヶ月前のこと。次男(5)に、地図が読めるようになったらいろいろいいなぁ、と思って、あーだこーだと一緒に話をしてみたことがあった。そのとき、割と、2次元の普通の地図は、まぁ、いけるかな、という感触だった。けれど、彼曰…

「メラビアンの法則」はぐるっと一周回ってやっぱり正しい

「ひとは、他人の話を聞く時、その話の内容に対して、全神経のたった7%しか使っていない(見た目にほとんどを使っている)」という「メラビアンの法則」がある(→だからプレゼンテーションでは見た目が大事)、とよく言われるけれども、実はメラビアンはそ…

ジオパーク公開審査セッションが見てられない

日本地球惑星科学連合2014年大会@パシフィコ横浜に参加しているのだが、どうも昨日のジオパーク公開審査セッションの状況について「傷のなめ合い」‥‥つまり「発表、良かったですね」と仲間内でお互いに言い合う気持ち悪い状態‥‥をする人々が多いようで、頭…

2014.03.17-19 伊豆大島ジオパーク視察ログ

大変な土砂災害の被災地の実態を知るため、また島原半島と異なるあり方で火山を中心とするコンテンツのジオパークの表も裏も知るため、そして何より、日本ジオパーク界ではナンバーワンカリスマガイドとして知られるNさんにガイド頂くため、客員教授のS氏に…

そうだ、室戸、行こう(3日目:最終日)

3日目、2/24(月)は、ソチオリンピック閉会式のダイジェストを見ながら朝食。出がけに若女将さんに「ジオパークってどうよ」みたいな感じで話を振ってみた。曰く、 ジオパークとは地質公園のことである 講習会に行ったが説明は右の耳から入って左の耳に抜け…

そうだ、室戸、行こう(2日目)

2日目、2/23(日)である。朝ごはんも美味しかった。10時過ぎからジオガイドツアー開始。おっちゃんジオガイド。もちろん僕はジオツーリズム研究をしている惑星科学者なんて言わずに一般人として(笑)。まぁ、地質も鉱物も植物も宗教も文化も歴史も専門じゃ…

そうだ、室戸、行こう(1日目)

年度末。それは大学教員が出張をしなくてはいけない時期(きっぱり)。ということで、思い立って室戸ジオパークに出かけることにした。2/22(土)-24(月)の2泊3日。もちろん研究調査である。共同研究者の都合が付かなかったので一人旅。前夜になんとか1…

科学技術とその専門家は、本当は何を期待されているか

今回はわかめネタではない‥‥べっ、別にネタが尽きたわけじゃないんだからねっ!!先日、縁あってお寺の住職引継ぎイベントに参列させて頂いた。そんな機会はそうそうあるものでもないし、非常に興味深く見ていた。その中で、すごく引っ掛かることがあった。…

サイエンスカフェ:最近の活動記録と雑感

先月と今月、1日ずつ、地元の方々向けの出前授業科目のため、我が社のサテライトオフィスに行って来た。その科目は月に1回のペースで開講されていて、5月と6月の回は僕が担当だったのだ。「担当」と言っても、単に自分が講義をするだけではなくて(そも…

フェルミ推定に挑戦

「フェルミ推定」とは、「そんなもんどうやって計算するねんwwwわかるかアホwww」っていうような数を、えいやっ!と力づくで見積もってしまう技である。「ちゃんとしたどんぶり勘定」と言ってもいい。仮説設定の力、糸口を探す力、論理構成力、あきら…

「学び」は観光の目的になり得るか?

社会構造の発達に伴い、人々の暮らしを構成する要素として「労働」以外に「余暇」という時間が現れ始めた。この「余暇」が生まれたからこそ、観光という行動の選択肢ができた。観光史の、いわば基本中の基本のネタである。観光は「余暇」で行うもの。余暇時…

大気汚染が地球温暖化を抑止する?, 植松, JGL, vol.5, No.3, p1-3, 2009

【結論】地球温暖化を抑制するには、大気汚染物質を大量に放出すればよい。海洋生物生産も高まり、CO2も海洋に吸収され、しかも海洋性エアロゾルも増え、霞んだ日々が増える……ことになっちゃう。 しかしこれらの一連の過程に伴うフィードバックについては殆…

島原半島ジオパークに行ってきた

「ジオパーク」とは地質や地形など地球のもつ資産を、市民が地球に親しみ地球を科学的に知るために活用する仕組みを持った地域に与えられる称号のようなものである。「世界遺産」が「保存」を主目的にしているのに対し、ジオパークは「利用」にウェイトが…

日本におけるジオパーク活動, 尾池&渡辺, JGL, Vol.5, No.4, 10-11, 2009

世界ジオパークネットワーク(GGN: Global Geoparks Network)の委員会は、日本から申請の出ていた洞爺湖有珠山地域、糸魚川地域、島原半島地域の3地域について、GGNへの加入を認めると発表(2009年8月23日付け) 今後、それぞれ「洞爺湖有珠山ジオパーク」…

雪氷上の生物群集 〜生態系として見る氷河〜, 竹内, JGL, Vol.5, No.4, 6-8, 2009

氷河や積雪の表面には、氷点に近い環境で活動できる特殊な生物「雪氷生物」が生息している。

現太陽活動極小期における特異な太陽風, 徳丸, JGL, Vol.5, No.4, 36, 2009

※以下のメモは、本文に書いてある順ではない 過去100年で最低レベルの太陽極小期 太陽黒点の出現は約11年周期 1755年を基準に、黒点数極小を区切りとしてサイクルに通し番号がついている 第22サイクルで見られた太陽風構造の変化は、第21サイクルと酷似して…

気候システムモデルによる気候研究, 鬼頭, JGL, Vol.5, No.4, 1-3, 2009

氷期・間氷期サイクル 過去数十万年続いた氷期・間氷期サイクル=日射量変動に対する、地球表層システムの応答 日射量変動の原因=自転軸の傾きや公転軌道の、周期的変動 地球表層システム=海洋大循環・氷床・地殻など アジアの気候も氷期・間氷期サイクル…

「特集にあたって:極地のエアロゾルと環境変動」林, エアロゾル研究, 25(3), 210, 2010

日本エアロゾル学会『エアロゾル研究』の特集のイントロ。いくつかのフレーズが勉強になったのでメモ。 (極域の)下層大気は放射収支では負となるが、大気の運動等により熱が輸送され、熱収支バランスが維持される。 その大気の運動によりエアロゾルを含む…

水質監視における政治的バイアス(Beck et al., 2010)についての論文紹介記事和訳

水質監視における政治的バイアスについての論文(Water Resources Research, doi:10.1029/2009WR009065, 2010)の紹介記事(Eos, Vol. 92, No. 8, 22 February 2011)の和訳

英語メモ

curry favor with … …のごきげんをとる. deliberate 1. よく考えた、熟考した上での、慎重な、入念な、手の込んだ/2. 故意の、意図的な、計画的な、周到な、予謀の permeability 浸透性、透水性、漏洩度、透磁性、透磁率、透過性 stringent 拘束的で少しの…

2005年の宮城県沖地震の研究論文(Sato et al., 2011)の紹介文

Eos, Vol. 92, No. 8, 22 February 2011のResearch Spotlight欄に掲載の、Tectonic plates relocked after 2005 earthquake in northeastern Japanと題する記事の和訳。ソースの論文は Sato, M., H. Saito, T. Ishikawa, Y. Matsumoto, M. Fujita, M. Mochiz…

火星赤道クレーター底に地下氷発見?のレター(Shean, 2010)の紹介文

Eos, Vol. 92, No. 7, 15 Feb. 2011のResearch Spotlight欄に掲載の、Evidence for water ice near the Martian equatorと題する記事の和訳。ソースの論文は Shean, D. E. (2010), Candidate ice‐rich material within equatorial craters on Mars, Geophys.…

科学とハリウッドはどうすれば共に歩めるか?

2010年12月のアメリカ地球物理学連合(AGU; American Geophysical Union)の秋季年会で、科学とハリウッドがどうすれば仲良くやっていけるかを考える催しがあった。そのレポートが機関紙Eosに掲載されていた(NEWS: How Science and Hollywood Can Work Toge…

「温室効果」と「温室の効果」に関する研究まとめ

American Geophysical Unionの新聞Eosの2010年11月16日号に興味深い記事(2010EO460006.pdf)があったのでまとめ。 まず、この少し前の号に、What Is the Atmosphere’s Effect on Earth’s Surface Temperature?と題する投稿記事があったようで、そこでgreenh…

生命の起源:新しい地球惑星科学の課題, 掛川, JGL, Vol. 5, No. 2, 5-7, 2009

アミノ酸を初期地球上にいかに用意するか?現在有力な説は‥‥ パンスペルミア説(地球外説) 宇宙空間で精製されたアミノ酸を地球に運び生命の起源に結びつける 地球説 地球上で重要な有機分子を作る パンスペルミア説の根拠 炭素質隕石中にアミノ酸が含まれ…

地下水等総合観測による巨大地震予測, 小泉, JGL, Vol. 5, No. 2, 3-5, 2009

東海・東南海・南海地震 東海〜四国の沖合にある駿河〜南海トラフでは、100-200年程度の間隔で、M8クラスの巨大地震が繰り返し発生してきた。最近のものは: 1944年・東南海地震(M7.9) 1946年・南海地震(M8.0) この2つの地震では、震源域が駿河トラフま…

21世紀の土地利用を考えよう, 氷見山, JGL, vo.5, No. 2, 1-3, 2009

伝統的土地利用研究 第一次土地利用調査(1930年代) in イギリス by ダドリ・スタンプ 目的:戦時下で自国が海上封鎖されても飢えないための土地資源の実態把握 第二次大戦で有効性は大いに発揮された 日本をはじめ世界の多くの国々の土地利用調査・土地利…

「ガラケー」の行く末

今、いわゆる「ガラパゴスケータイ」、つまり従来型の携帯電話から、iPhoneやAndroidなどのスマートフォンに乗り換える人が続出している。少なくともこれからも暫くはこの動きは続くだろう。 このまま、「ガラケー」は本当にガラパゴス状態になって行くのだ…

中性子が拓く地球・惑星科学, 鍵, JGL, Vol.6, No.1, 9-11, 2010

中性子ビーム 高温高圧条件に於ける物質中の水素原子の位置決定に向いている。理由は、 物質進入長が深い 軽元素からの散乱強度が強い 地球深部のH2O? 地球を作った始源物質中のH2Oの量=2wt% 隕石中のH2O含有量から推測 byリングウッド 地球表面積の70%を…

地震以外の“揺れ”から探る地球内部構造, 西田, JGL, Vol.6, No.1, 7-9, 2010

俺注:2010 AGU Fall Meetingで出会った、地震研の学生がこの人の弟子のようだ。MELOSランダーに載せるためのまさにこの論文で解説される手法で内部探査をするためのキッチン惑星科学的な開発をしている、と話していた。 地震波干渉法 地震波は、固い場所を…