現太陽活動極小期における特異な太陽風, 徳丸, JGL, Vol.5, No.4, 36, 2009

※以下のメモは、本文に書いてある順ではない

過去100年で最低レベルの太陽極小期

  • 太陽黒点の出現は約11年周期
  • 1755年を基準に、黒点数極小を区切りとしてサイクルに通し番号がついている

第22サイクルで見られた太陽風構造の変化は、第21サイクルと酷似していた

  • 第23サイクルも同じだろうと予想された
    • 実際、極大期までは同様だった
  • 極小期に入って、過去に見られなかった特異な様相を示し始めた

2008年の無黒点日数は266日(1年の73%)に達した

  • 311日をマークした1913年以来のこと
  • 2007年にも163日あった
    • 前極小期1996年の無黒点日数が165日だから、相当なもんだ

普段の太陽

太陽風

  • 極小期には、
    • 高速太陽風(約300-700km/s)が南北極域を中心にして発達
    • 低速風は赤道付近に細い帯となって存在
  • 極大期には、
    • 高速風が衰退
    • 低速風は太陽全面から吹き出す
  • 地球軌道は太陽赤道付近 ⇒ 全期間を通じて、地球に到来するのは主として低速風

太陽磁場は

  • 極大期に、太陽極域の磁場極性は入れ替わる
  • 極小期に、極域磁場強度は強くなる
    • この増大に対応して、「コロナホール」なる領域が高緯度を中心に発達 ⇒ 高速風の源に

2008年の太陽

  • 速度分布は、
    • 南北高緯度帯に加え、赤道付近で太陽風速度が上昇
    • 低速風は中緯度帯に2つに分かれている
      • 1996年の極小期では、高緯度=高速風、赤道=低速風
  • 太陽風の構造が安定していない
    • これまでの極小期では、いくつもの自転周期にわたって安定していた
  • 太陽極磁場は前回、前々回に比べて約1/2しかない(Wilcox太陽観測所)
  • 極域高速風密度が前回の極小期に比べ大幅に減少し低温に、また太陽風の磁気フラックスも減少(Ulysses探査機)

これらは全て現極小期の太陽ダイナモ活動の反映と解釈されている。