そうだ、室戸、行こう(3日目:最終日)

3日目、2/24(月)は、ソチオリンピック閉会式のダイジェストを見ながら朝食。出がけに若女将さんに「ジオパークってどうよ」みたいな感じで話を振ってみた。曰く、

  1. ジオパークとは地質公園のことである
  2. 講習会に行ったが説明は右の耳から入って左の耳に抜けていった
    • ただし、タービダイトが「砂と泥が交互に地層になっている」ことは理解しているようだった
  3. ジオパークに認定されたときには、学校の団体さんがよく来た
  4. 世界ジオパークに認定されているのは、島原半島と、新潟の糸魚川と、‥‥北海道(※洞爺湖有珠山と、京都の丹後半島鳥取の間の‥‥えーと何だっけ‥‥(注:山陰海岸ジオパークのこと)、室戸は5番目

ジオパーク推進というのは、やっぱ難しいもんだなーと再確認。これが普通だと思うし、言葉は悪いかもしれないが若女将さんは上出来だと思う。世の中の人々が地層や岩石を見て盛り上がると思ってるのはジオパークの中の人だけだ。どうかしている。少なくとも、ジオパークを「地質公園」と刷り込んでしまった時点で失敗じゃないかな。

バスで移動しながら室戸の町並みを眺めて思う。ゴーストタウン感は特にないけれど、それでも、まぁいわゆる「いなか」だったらどこでも見かける風景である。錆びて茶色くなったままの案内板、塗り替えていないシャッター。もちろん南紀エリアでも、あるいは母の郷里の鹿児島の山奥でも見かけるあれだ。「古い」のではなく、メンテナンスが行き届いていないために「廃れて」いる。これは日本の正しい風景なのだろうか。外人さんがこの風景を見たとき、僕らが外国の町並みを見たときと同じ感覚で、古い町並みいいねーと感じるのだろうか。僕にはどうしてもそうは思えないのだが‥‥。ある人が「ジオパークは『他に何もない田舎』がやること」と言っていた。ある意味では、それを体現する風景なのかもしれない。

そうこうしながら道の駅「キラメッセ室戸」に到着。室戸ジオパークビジターセンターがあるのでやってきた。本来なら、ここ室戸ジオパークは車でアクセスすべきところなのだろうし、そうであるからこそ室戸市に入って早々のこの場所に情報提供スポットとしてのビジターセンターがあるわけだ。だから僕のように旅の最後にここに来るのは順序としてはおかしいのだが、まぁ、とにかく、時間もあるし、ここで原稿を書き、レストランで土地のものを食べようと考えた。






まさかの月曜定休日‥‥orz






えー。レストランや直売所は百歩譲るとして、ビジターセンターが定休日って‥‥

海岸に出た。タービダイトが顔を出している。これが崩れたと思われる黒い泥岩が落ちていたので、手に取ったところ、薄くはがれるように割れた。泥岩と言うよりもむしろ頁岩、といった感じだろうか。すさみ町沿岸のフェニックスの褶曲の中にある層とよく似た感じに見えた。ここは室戸岬からは数km北上したところ。同じくタービダイトとはいえ、いくらか時代が古いはずであるから、それだけより高圧な環境下にあったのかもしれないと思えば、だんだんとタービダイト層の各層も室戸岬のそれより薄いような気がしてきて、まぁ頁岩になっててもいいのかもなーと思われた(ホンマかいな)

路傍の喫茶店に入り、コーヒーで一息つきつつ、海を眺めながらこのブログを書く。出るときにまた店員のおねえさんにプチインタビュー。

  • 連休になったら岬の方には人がけっこう来る
  • 途中のこの辺りは変わらん
  • ジオパークなんかやらんかったらよかったのに」とは別に思わない
  • ただ、来て帰っていくだけでお金が落ちない、とは聞く
  • この辺は宿泊施設が無いからねぇ

だそうだ。

すぐ近くに空海が修行したと伝えられる(こればっかりやな)崖の上にそびえる「不動岩」を見る。ちゃんとお社があった。その向こう隣にあるレストラン、の横に駐車場があり、そこから海岸に降りられるようになっていた。気がつくとそこは行当ぎょうど黒耳くろみ海岸サイトだった。もっと離れた場所かと思っていた。ここは遊歩道も整備されていて、タービダイト層のど真ん中に気軽に降りていけるようになっている。砂岩岩脈はわかりにくいが、漣痕や生痕化石はわかりやすく、かつすぐに手の届くところにあった。このお気軽感は(地質脳と関係なく)川原で石遊びをするノリに似て素敵かも、と思った。

レストランでは「ジオパーク弁当」があった。メニューを見る限り、「これ、ぜったい普通のメニューのほうが美味しいよな〜」「でもここでジオパーク弁当じゃなかったら来た意味ないしなぁ‥‥」と思いながら注文したんだけど、これがけっこう美味。生タマネギスライスのあの刺激が苦手な人はつらいと思うけど、僕は大好きだし。しらす、プリプリの海老マヨ、唐揚げ、野菜天ぷらなど。もちろん天ぷらは天つゆなんて使わずに抹茶ジオで頂くことになっている(笑)

しばらくそのまま海の見える席で原稿を書きながら過ごす。帰りのフライトまではまだ時間があったが、iPhoneのメール受信箱が爆発していたので空港の無線LANを求めて引き上げた。

奈半利駅から土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線へ。快速で後免駅まで‥‥と思ったのだが、赤岡駅?で小火があったらしく安芸駅止まりに。あの阪神タイガースのキャンプ地の安芸である。その先がどうなるかわからないが、ともかく安芸駅までは運んでくれるとのこと。

安芸駅で下車。どうしようもないので、バスを検討するも、よくわからないので、駅ビル内にある直売所の店員さんにどのバスに乗るべきか教えてもらう。約1時間後のバスで空港の近くの町まで行けるらしいので、それまで黙々と原稿やメールと戦う。

バスに乗車。室戸ジオパークでも、吉良川というエリアでは伝統的な町並みとして、雨よけのちっさな瓦屋根が何列も生えている壁(豪雨でも壁が傷まないようにという、指折りの多雨地帯ならではの知恵であるらしい)、というのが紹介されていたのだが、安芸駅付近でもたくさん見られた。車窓の風景が変わっていくのを楽しみながら、運転手さんに教えてもらった通り、野市龍河洞通バス停で下車。バス停横のタクシー乗り場でタクシーに乗り、空港へ向かう。

タクシーの運転手さんによると、最近は交通事情が良くなって(高速道路が延伸してるらしい)、みんな足摺岬のほうに行くんだそうだ。気軽に日帰りでも行ける距離感になったらしい。あと、「本当に」に相当する副詞で「まっこと」って本当に言ってたのでちょっとびっくりした。ぜよ。

空港のロビーでメールと原稿と戦う。打ち上げと称してビールの一杯でも、と思っていたのだけど、全くそんな余裕無し。搭乗口でもギリギリまでメールを打っていた。何やってんだか。そんな感じで帰阪。伊丹空港に家族が迎えにきてくれていたので、そのままステーキレストランで鯨飲馬食(笑) これにて終了。