21世紀の土地利用を考えよう, 氷見山, JGL, vo.5, No. 2, 1-3, 2009

伝統的土地利用研究

  • 第一次土地利用調査(1930年代)
    • in イギリス by ダドリ・スタンプ
    • 目的:戦時下で自国が海上封鎖されても飢えないための土地資源の実態把握
    • 第二次大戦で有効性は大いに発揮された
  • 日本をはじめ世界の多くの国々の土地利用調査・土地利用計画精度に大きな影響を与えた
  • イギリス・土地農村計画法 施行(1947)
    • 目的:優良農地の保護
    • 同時に都市・道路・森林・自然保護地域等の異なるニーズに十分配慮しながら、限られた国土を適切に利用することを目指した
  • イギリス・第二次土地利用調査(1960年代)
    • by アリス・コールマン
      • 優良農地が不適切な都市化等により無用に失われていた実態を明らかに(1976)
      • 世界人口急増の下でいずれイギリスを襲うかもしれない食糧難の時代への備えを説いた
    • 地球環境危機の時代の国土利用のあり方を示す画期的なものだった
  • その後の科学技術の進歩とオイルショック後の世界経済の回復・発展は、土地資源問題をはじめ人口問題・食料問題・エネルギー問題などに対する人々の危機感を鈍らせた。

LUCCとGLP

GLP(全球陸域プロジェクト):LUCC(土地利用・土地被覆変化国際研究計画)がGCTE(陸域生態系と地球変化)とともに2005年に発展的に改組されてできた。

自然と人間の持続可能な共生へ向けて

日本学術会議地球惑星科学委員会は、提言『陸域―縁辺海域における自然と人間の持続可能な共生へ向けて』を、2008年6月にG8北海道洞爺湖サミットの開催に合わせて公表した。(詳細は公表資料PDF参照)

  • 陸域―縁辺海域における自然と人間の持続可能な共生の実現に向けた現状と問題点を指摘。次の3項目について具体的な提案:
    1. 陸域―縁辺海域における地球環境・災害に関する地球情報基盤の整備
    2. 陸域―縁辺海域における実態把握と問題解決のための分野横断的研究の推進
    3. 陸域―縁辺海域の保全と持続可能な利用を実現するため、次の3点を指摘;
      1. 陸域―縁辺海域の資源としての有限性と環境劣化の問題の解決に役立つ総合的研究を、陸域と縁辺海域の双方で実施するとともに、陸域―縁辺海域を連続したシステムとして捉え、多様な要因を総合的に研究するプロジェクトを推進するべし
      2. 温暖化に伴う海面上昇や異常気象増加、急速な社会経済的変化などの影響を受けつつますます深刻化している自然災害の回避・軽減のため、従来の防災研究に加えて土地の適正利用という視点からの研究を推進すべし
      3. 土地利用と防災のあり方に関する総合的研究をIHDP、IGBP、LOICZ、GLPなどの国際的研究計画等と連携して推進すべし
  • 持続可能で安全な陸域―縁辺海域の利用と開発に向けて

文理連携によるGLPの推進を

広範な地球科学者とともに、人文地理学者を含む人文社会科学者の参加が強く望まれる。