日本におけるジオパーク活動, 尾池&渡辺, JGL, Vol.5, No.4, 10-11, 2009

世界ジオパークネットワーク(GGN: Global Geoparks Network)の委員会は、日本から申請の出ていた洞爺湖有珠山地域、糸魚川地域、島原半島地域の3地域について、GGNへの加入を認めると発表(2009年8月23日付け)

これまでの経緯

日本ジオパーク委員会JGC, 2008年5月設立)が「日本ジオパークネットワーク(JGN)」を立ち上げ

  • JGCの役割
    1. GGNへの申請を推薦する
    2. JGNへの加盟を認定する
    • JGNの認定=「ジオパーク」で、その中で優れたものを推薦してGGNに認めてもらう
  • 認定に当たって考慮するポイントの例
    • 大地の遺産(地形・地質など)の価値やその保全状況
    • 訪問者に地球の仕組みと成り立ちをわかりやすく面白く伝える工夫がなされているか
    • そんな活動を今後長く続けるために行政(関係自治体)・住民・研究者・観光協会等が一体となって運営する組織体制があるか
  • JGN加盟の日本ジオパーク

日本初の世界ジオパークネットワーク加盟三地域

  1. 洞爺湖有珠山地域
    • 洞爺湖は約10万年前の噴火でできたカルデラ湖
    • 噴火の際の火砕流が洞爺湖周辺を広く覆っている
    • 20世紀に4回の噴火があり、最近では2000年に噴火した有珠山が洞爺カルデラの南縁にある
    • 1944〜45年の噴火の際に昭和新山の噴火活動を観察し、その後一帯を私費で買い上げて保全した三松正夫氏と、その意志を継いで火山に関する啓発を続けてきた三松三朗氏の活動は、ジオパークの理念の先駆け
    • 20世紀の4回の噴火を物語る地形や、噴火の被害の遺構を見て、大地が動くことを実感できる
    • ジオパークが認定する「火山マイスター」をはじめとする多くのガイドが語ってくれる
  2. 糸魚川地域

糸魚川静岡構造線が通っている

    • 日本を東西の二つにわけ、北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界(とも言われる)
    • 構造線の東側は、日本列島が大陸から分離する際にできた地溝帯=「フォッサマグナ」
    • 糸魚川市では、これらの重要な大地の遺産を生かした街作りを行おうと、1991年から独自に「ジオパーク」という考え方を創り出し、地学の普及に努めてきた
    • 糸魚川には多くのジオと人の関わりを学ぶ入口がある
    • 地質と人間の古くからの関係を学ぶ
      • 縄文時代のヒスイの装飾品加工跡の遺跡
      • 構造線に沿う古道「塩の道」
      • 扇状地に湧くおいしい水で造る日本酒なども
    • 糸魚川地域内のいくつかのジオサイトでは、地元の人自らが地域の自然と歴史の語り部となっている
  1. 島原半島地域
    • 火山のもたらす大きな災害
      • 1990〜95年に噴火した雲仙普賢岳火砕流・土石流災害の遺構、1792年の噴火に伴う眉山の崩壊による大災害「島原大変・肥後迷惑」の遺跡など
      • 平成噴火の火砕流の映像とその時の堆積物・地形、土石流に埋まった家屋は、火砕流と土石流の恐ろしさをわれわれに伝える。
    • 島原半島の成り立ちがわかる。
      • 海岸沿いの地層や岩石、雲仙 地溝の活断層地形など
    • 火山の恵み
      • 温泉、豊富な湧き水、水はけのよい土壌で取れる野菜など
    • 地元のガイドから火山の恐ろしさと噴火後の復興の様子を聞き、火山の恵みをガイドと共に実感し、火山との共生を考えるジオパーク

※最後のセクションは大したこと書いてないので略す。