担当講義紹介としてのメンタルマジックショー

昨年度から、この時期の某イベントの懇親会での座興として、担当講義紹介と称してメンタルマジックショーをしている。
というか、「科学コミュニケーション論」という担当科目の中で、ニセ科学を扱う回で、毎年、メンタルマジックを交えた講義をしていて、マイナーチェンジを繰り返して、今の形になったというわけだ。そこそこ演出が固まってきたように思うので、ここにメモしておこうと思う。

準備しないといけないものごと

  • ブックテスト
  • インビジブルデック
  • ダイヤル式南京錠を解錠するやつ
    • 僕はEKo!氏の『0120(フリーダイヤル)』を採用
  • それらしい話を付け加えられそうな見た目の石
    • そこらへんに落ちているもので良いが、卵ぐらいの大きさより大きくないと観客席から見えない。もちろん洗っておく。

話の流れと演出

  1. あらかじめ、インビジブルデックのデック本体を、視界に入ってるけど気にならない状態で、何気なく置いておく。
  2. 『石』をうやうやしく台座的な何か(箸置きやコースターなどそのへんにあるもので良い、無くても構わない)に乗せて正面に鎮座させ「この石はトルマリンとかゲルマニウムとか何とかが含まれていてかくかくしかじかの波動が出ていて、それによりここにいる人は全員、人間が本来持っている潜在能力が高まっていて、普段なら読み取ったり感じ取ったりできないことが、今なら僕もみんなもできる」と説明する。
  3. ブックテスト。ここでは、覚えた単語を「ゆっくり頭の中で1文字ずつ読み上げて」と指示。「本を読むのが速い人と遅い人がいるが、遅い人は本を読む時に声帯が読み上げてしまっているから発音のスピードより速く読めないからだ」と説明し、実はその単語ものどの動きを読み取ればわかるのだ、ただしこの石の波動のおかげで潜在能力が上がっているから読み取れるのだ、と説明する。
  4. 「今のはのどを見てれば良いので簡単だが、発信するのは少し難しい」と言って、インビジブルデックに入る。寸劇は普通の通りだが、続けて「今、自由に自分で言ったつもりだろうが、実はずっと僕がそのカードを言うようにサインを送っていた。普段なら感じ取れないだろうが、この石の波動のおかげで潜在能力が上がっているから感じ取ってしまって、そのカードを言ったのだ」と説明し、「でも証拠が無いと言われそうなので、ここに最初からおいてあったカードがあるけど、このカードに今の状態を作って置いておいたのだ」と言い切って、そのカードが裏返ってるのを示す。
  5. うさんくさいと思うのはわかる。でも、電話をかけようとしたその時に相手からかかってくる、なーんていうような「偶然の一致」は、みんな何となく「そういうことあるよね」と思ってるだろう。それを学術用語で「シンクロニシティ」と呼び、人間科学の研究対象になっている。アメリカでこの石の波動の効果を使ったシンクロニシティ再現実験があるので、ここでそれを実演する。その実験ではダイヤル式南京錠を使うことになっている。…と説明し、南京錠トリック。ここでは、お客様が解錠ナンバーを後ろ手に持った状態で設定(ご本人にも誰にも解錠ナンバーがわからない)したのに、お客様4人にダイヤル一つずつを適当に合わせてもらったら開いてしまう、という演出。ただし、後ろ手のままでお客様にロックさせるのはそもそも難しい(特に「解錠ナンバー設定モード」から抜ける時にアームを引き出すためにはダイヤルをきちんと赤線に合わせないといけないのだが、それを見ずにやるのは非常に困難。別に僕が解錠するわけじゃないので、誰かに見てもらったり僕が見ても構わないことに気づいたので、さっさと先に進めることにした)
  6. 「何が科学コミュニケーションなのかというと、さっきの流れで『この奇跡の石が今なら¥1,500で買えます』と言うと買っちゃう人がいるんですよ、特に心が弱った状態の人は。」「薄々お気づきかと思うが、もちろん、この石から波動とか何とかは全部デタラメで、こういうジャンルのマジックである」と続け、詐欺の話、程度が軽いとは言え身近なニセ科学の詐欺としてマイナスイオンの話那智の滝のお土産コーナーで「マイナスイオン水」が売られているのは世界遺産中核施設のお土産として適切か?)ニセ科学がシャレで済まなくなった血液型差別の話などを通過して、「ニセ科学と社会の関係の講義のダイジェストでしたー」と締める。

ちなみにダイジェスト版でない本編の講義では、詐欺の話をメインにはせず、むしろ「ニセ科学」というジャンル?があるのだと伝える。また、スプーン曲げ実演からのユリ・ゲラーの話題、フォックス姉妹の交霊術、ミステリーサークル、Japan Skepticsやジェームズ・ランディなどにも触れる。昔は冒頭に借りた指輪を浮かせたりしていたのだが、ITは難しい割に得るものが少ない(効果が十分になるほど真面目に勉強していない)のでやめた。

うーん、こうやって文字でまとめてみると、フォックス姉妹に触れるなら、スピリット・スレートをやらないといけないかなぁ、という気にならなくもない。

本編の授業では、詐欺の話はニセ科学の次の回で扱うのだが、ここでの「実演」に非常に悩んでいる。3つの品物でエキボックしたり、いわゆるProbability Hitをいくつかやったりするのだが、しっくりくる流れにならない。難しい。