温暖化論のホンネ 〜「脅威論」と「懐疑論」を超えて(武田邦彦, 枝廣淳子, 江守正多)

温暖化論のホンネ 〜「脅威論」と「懐疑論」を超えて


  • 単行本(ソフトカバー): 224ページ
  • 出版社: 技術評論社 (2009/12/17)
  • 言語: 日本語
  • ISBN-10: 4774141038
  • ISBN-13: 978-4774141039
  • 発売日: 2009/12/17
  • おすすめ度: ★★☆☆☆


鼎談。学者がペラペラグダグダ数時間しゃべるだけで本になるんやなぁ…という印象。まぁ、読みやすいので、読み流せる程度のものでないと読めない人が増えている今日この頃だし、そういう意味ではニーズは高いのかもしれない。

帯には

武田が吠え、

江守が説き、

枝廣がつなぐ、

3人が描くそれぞれの地球温暖化論!

とあるのだが、前半戦は予想通り、主流派江守vs.懐疑派武田なのに、対策の第3部になると市民代表枝廣vs.武田+生温かく見守る江守の構図になるのが面白い。どちらかというと枝廣氏が吠えている(笑)。武田氏の「そうかもしれないけど、そんなのやったってムダ」と言う身もふたもない論理にイライラしてた枝廣氏が牙を剥いたというところか。ふだんブログ等で無茶苦茶なこと言ってるので武田氏=トンデモ学者と思ってたけど、少なくとも環境にまつわる話題に関しては(自身の思い込みに気付かない枝廣氏よりは)割とマトモなことを言ってる印象。江守氏のクールさが光る。

個人的には、武田論のタイムスケールが「(そんなたいそうなことを言ったって)日本で30年ぐらい先まで見たらそんなことできるわけないじゃん」という感じで、江守・枝廣論のスケール(世界・100年程度)よりも小さく狭いということが面白かった。「世界の100年」を考えるのは、それはそれは気持ちのよいものである。現実さえ見なければ。‥‥といったところなのだろう。それが枝廣氏の癇に障るのだろう。むしろ僕個人としては、もっともっと長いスケールで考えるほうが一般には難しいものなので、そういう視点の論をプッシュする人が欲しかった(江守氏が割とそういうことも語っているけれど前面に出しているわけではない)。実際、僕がテストで「1万年先、100万年先、1億年先のいずれかのスケールを選んで人類社会のサステイナビリティを考えよ」と出題すると、1万年先を選択する学生が半分以上で、しかも言ってることはせいぜい100年先、ってのがほとんどだ。それだけ「ちゃんと」将来を想像することは、一般的には難しいということだ。

であれば、より物理っぽいことを主張する伊藤氏や、地球史&スベンスマルク説というか懐疑論者の筆頭の丸山氏、その他けっこういる物理屋業界の懐疑論者を2〜3人ずつ集め、主流派も同じように江守氏以外に2〜3人集め、政治家と市民でそれぞれ2〜3人集めて、討論させれば良いものができるんではないかと思ってしまう。陰謀論的に言えば「学会はどこも主流派の集いだから懐疑論を正当に発表できる場が無い」のだから。