再会(オリオン座流星群)

そもそも、流星群なんて毎年観られるものだ。そんなに大騒ぎするようなことじゃない。
そう思って(実際そうだし)、極大日だった昨夜は仕事してた。

どうも世の中の人は、メディアに取り上げられるとすぐに飛びつく。だったら観てないオレが「何やってんの?あんたそれが仕事でしょ?」と言われてしまう。極大日翌日だが、昨夜けっこう飛んでたらしいから、まぁそれなりに飛ぶだろうと、寝る前のひととき、0時ごろから東の空を眺めていた。

全然飛ばない。

何の変化もない夜空をずーっと見ていると、虚空に「線」が見えてくる。何も無いところを見ていると線が見えるような気になってくる、というのは、心理学というか認知・生理・知覚関係の実験でその昔、確かめられたとか。それが20世紀前半の「火星人の運河」だったとかなんとか、そんな話があるが、この「線」がそれか、と妙に納得。

‥‥ダメだねこりゃ。

そう思って家に入ろうと思った瞬間、すばるから天頂に向かって、いかにもな明るい流れ星が一閃。満足。


再会である。
23年ぶり、かな。

流星は、宇宙に浮かぶ塵が地球に落ちてくる、いわば小さな隕石だ。ホコリっぽい、塵のたくさんあるあたりに地球が突っ込んでいけば、たくさん降る。それが流星群だ。オリオン座流星群の「もと」はハレー彗星の残していった塵だ。さっき見た流れ星は、かつてハレー彗星だった。
1986年春、オレは小学生だった。「76年に一度」のハレー彗星をこの目で見ようと、今は亡き親父にあちらこちらに連れて行ってもらっていたものの、うまくいかなかった。ラストチャンスと言われた4月のその晩、2人で大阪北部、能勢の山の中(確か「るり渓」というところの近くだったはずだ)に入り、望遠鏡で見たのを思い出す。あの夜は、確かたまたま皆既月食だった。

23年ぶりの「再会」に、少しだけ乾杯してから寝るとしよう。