にわかウチューロニスト

昨日・今日の2日間、合宿形式のセミナーに参加している。テーマは宇宙論入門である。インフレーション理論の創始者佐藤勝彦教授による講義だ。
お恥ずかしい話なのであるが、今まで宇宙論をまともに勉強したことが無い。相対論の教科書に何度かアタックしたことはある。だがことごとく挫折してきた。今までで唯一「相対論ってこんなかんじなのね」と思えたのは、全く関係ない動機で読んだ、テンソルに関する「読み物」を読んだときだった。
佐藤教授の人格者っぷりが大いに発揮されたこの2日間で、かなりいろんなことを学んだ。授業中にちょっと小話をする程度なら、できるんじゃないだろうかとさえ今は思える。宇宙が始まって10のマイナス36乗秒後にインフレーション。真空のエネルギーが相転移して火の玉宇宙を作り出す。トンネル効果で「無」から宇宙が生まれ、1000億年後には我々の銀河の外には何も見えなくなり、10の100乗年後にはブラックホールが蒸発して光と電子・陽電子ぐらいしかない空間へと「宇宙が死んで行く」。っていうかインフレーションすげぇ。

教授の人格者っぷりに依るところは大きいのであるが、その上で、最後までドロップアウトせずについて行くことができた自分に少し驚いた。おそらく、10年前の院生時代だったら、(今よりもずっと科学な脳だったにも関わらず)最後まで聞き通すのは無理だっただろうと思う。分からないなりに少しずついろんなジャンルの読み物を読んだり教科書にトライしたりするたびに脳に残る「微細教養」が、海の底で少しずつ地層を作るように堆積していて、それが今回の聴講完遂と理解につながったんではないか‥‥これも一種の年の功というものなのかもしれないな、と思った。