2009-04-04 「プチスポット海底火山 〜新種の火山の発見〜」, 平野, JGL, Vol. 3, No. 2, 2007 研究 火山の3タイプ プレート形成場の火山 中央海嶺や地溝帯 プレート沈み込み帯の海溝に沿って陸側にできる火山 島弧、陸弧、および背弧海盆の火山 日本のほとんどの火山が含まれる プレートの配置とは無関係に存在するホットスポット火山 ハワイ島など 「プレート内火山」とも呼ばれる で、この平野さんは、このどれにもあてはまらない場所で活動する非常にちっちゃい火山(長径1〜2km、比高せいぜい数百m)を、三陸沖の深海底、太平洋プレート上で発見し、「プチスポット」と名付けた(Science誌で発表した論文でも"petit spot"と書いてあった)。 プチスポットの成因 三陸沖日本海溝に沈み込む太平洋プレートは、海溝で急にプレートの進行方向がそれまでの水平移動方向から地下方向へ折れ曲がる。 このプレートの折れ曲がる手前のところで、プレートの剛性のせいで、幅数百kmにわたってプレートが屈曲して最大800mほど盛り上がる「アウターライズ」という地形が生じている。 プチスポット火山は、このアウターライズ地形の東側(外側)、プレートが盛り上がり始める場所の周辺で発生している。 このプレートの屈曲が原因となって亀裂が生じ、マグマがプレートの直下のアセノスフェアから亀裂に沿って海底に染み出て火山が形成された可能性が高い。 意義 アセノスフェアで地震波速度が遅くなることなどの特徴は、部分溶融していると仮定(溶融説)しても、極微量の水を含んだカンラン石であると仮定(物性説)しても、説明できてしまうので、両説が対立してきた。このプチスポット火山の発見は、アセノスフェアの実態について、溶融説を支持する初めての地質学的証拠として位置づけられる。