全く別のプレゼン・トーク‥‥かわべ天文公園にて

「間」と「間合い」が全然違うのである。

オレが展開しているプレゼン論は、ベースは松田卓也教授「プレゼン道」である。何かの事柄を多数の観衆の前でビジュアルエイドを使って話す、という条件下で如何に効果的にメッセージを伝えるか。どのような立ち居振る舞いをして、どのような話し方をするか。メッセージと同時に自分を印象付けるにはどうしたらよいのか。そういったことを研究している。

ところが、多数を相手に、楽しませ、納得させるプレゼンであるにもかかわらず、上記の条件が適合しない形態が存在するのである。

プラネタリウムの解説である。

今回、ゼミの合宿で、かわべ天文公園にお邪魔した。天文総合施設のようなところで、100cm反射望遠鏡を備え、敷地内には大きな遊具やリス園があり、レストランと宿泊施設がある。そして、プラネタリウムがあるのだ。プラネタリウムの「ショー」を拝見したわけである。

頭上いっぱいに広がるバーチャルな空間を操るわけだが、解説者は、観客の前には居ないのである。観客席の後方から、気配を消して観客に自分の存在を意識させず、観客をバーチャル体験の中に没入させるための話し方なのである。

相手の目を見ながら瞬時にアドリブを繰り出し、数分に1度は笑いを取りに行き、ムダ話を挟んで休憩させ、‥‥といった「人の前で話す術」とは根本的に発想が違うのである。

特筆すべきは、「噛まない」ことと、余分な「えー、」や「あのー、」といった間投詞が全然入らないことである。台本があるにせよ、会場の様子を見ながら話を微調整するため、アドリブもあるはずである。いや、台本があったって噛まないようにしゃべるのは難しい。

また、時間的に許される極限まで表現を削り、言葉数を減らし、間を取って、ゆっくりと話すのである。これによって、一言一言の持つ重さ、パワーが引き出されるのだ。

すごい。