新しいダイヤモンドの合成と応用, 入舩, JGL, Vol. 5, No. 1, 2009

ダイヤモンドは最も硬い物質であるとともに、高い熱伝導率を有することが知られている。

現在ではコバルトなどの金属触媒を用いることにより、低圧相であるグラファイトとの相境界近傍付近の条件(5.5万気圧、1600℃程度)で、大型高圧合成装置を用いて工業的に生産されている。

単結晶ダイヤモンドは、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)と称される超高圧発生装置に利用されている。その硬さを利用して、一対のダイヤモンドに資料を挟み力を加えることにより、現在では地球の核に対応する300万気圧程度の圧力発生も可能になっている。

また、ダイヤモンドを通過するYAGレーザー光などを照射することにより、試料だけを数千度に加熱することが可能である。

天然のダイヤモンドにはこのような単結晶以外に、カーボナードなどと称する多結晶体が存在する。ミクロンレベルの微粒ダイヤモンドが集合し、互いに強く結合焼結したものであり、ダイヤモンド特有の硬さとともに、割れにくいという特徴を併せ持つ。単結晶に比べて産出量が少ないが、工業的には多結晶ダイヤモンドのほうが価値が高い。しかしその成因は現在も不明。

(そんな多結晶ダイヤモンドの人工的生成法を編み出したよ、産学連携で実用化に近づいているよ、というお話だが以下略)