地球はなぜ回っている?

子供の質問で「地球はなぜ回っているのか」というのがあるが、むしろ回転しないで止まっているほうが奇跡的である‥‥とMLA4月14日分で触れられていたが、これは子供に限らず、大人だってする質問であろう。単に大人は疑問を忘れているだけだ。疑問を忘れるのが大人になるということのひとつだとも言えるかもしれない。だとすると、疑問を忘れず且つそれを解決するまで頑張ることが仕事である研究者が「子供っぽい」と良くも悪くも言われてしまうのは、ある意味で当然なのかもしれない。
‥‥っと脱線してしまった。話を戻す。
地球が自転している理由である。むしろ地球が止まっているための条件を考えるほうがわかりやすいだろうと思う。
散らばった小物体たちが、引力によって集積するとき、その集積してくる小物体の持っている「運動」が全て綺麗に打ち消しあって、ぴったりプラスマイナスゼロにキャンセルされるというとんでもなく奇跡的な場合に限り、地球は止まっていられるわけだ。そんな奇跡は起きないので、普通は止まらずに、回転する。
もちろん回転だけでなく移動もする(運動のうち「移動」の成分が残る)のだが、ここでは回転だけについて考えよう。
いま、ここではとっつきやすいように「運動」とわざとぼかして書いたが、正確にはもちろん「角運動量」である。角運動量は回転の度合いと方向を一度に表す量で、足し算や引き算が可能な量である。地球を形作るべく?小物体が集積するときには、個々の小物体が元々持っていた角運動量は失われずに合計されていく。最終的にできあがった地球が持っている角運動量は、やっぱり元々の小物体が持っていた角運動量の合計であって、ひとつの回転度合いとひとつの回転方向を示す、ひとつの量である。地球は、その方向に、そういう勢いで回転する。
集積していって安定な状態になるのは、ひとつの天体に落ち着く場合だけではない。太陽系だって銀河だって、集積のたまものである。その自転・公転の状態で、系全体が力学的に安定になったら、集積はストップする(ように見える)。このとき系全体の角運動量の合計は、やはりひとつの回転度合いとひとつの方向を表す。これが系全体が回る方向である。回る方向が同一ということは、全部が同一平面内に収まって(しかも同一方向に回って)いるということだ。もともと集まる前にはバラバラな運動をしていたはずの小物体が、太陽系や銀河のように、集まってみればひとつの平面内で同じ方向に回転する円盤をなしている理由はこれである。