Bell et al., 1994 on Icarus

Spectroscopy of Mars from 2.04 to 2.44 μm during the 1993 Opposition: Absolute Calibration and Atmospheric vs Mineralogic Origin of Narrow Absorption Features
James F. Bell, III , James B. Pollack, Thomas R. Geballe, Dale P. Cruikshank and Richard Freedman
Icarus, Volume 111, Issue 1, September 1994, Pages 106-123
2.04〜2.44μmでの火星の中分散反射スペクトル(λ/Δλ = 300 to 370)を、1993年にUKIRTで取得した。火星由来の狭い吸収が7つ見られた。これらのうち5つは、太陽スペクトルと火星大気スペクトルの比較から、全部か一部かはともかく、火星大気中のCO2またはCO(2.052±0.003, 2.114±0.002, 2.150±0.003, 2.331±0.001, and 2.357±0.002 6mu;m)によるものであった。うち2つの吸収帯(2.331±0.001 and 2.357±0.002μm)は、その幅や深さが後から付け加わった非大気性の吸収とconsistentであるようだ(ただし太陽光の寄与であるという可能性は完全には排除できない)。その他2つの弱い吸収帯(中心波長 2.278±0.002 and 2.296±0.002μm)は、少なくとも部分的にはmineralogicな由来のものであろう。今回のデータからは、これらの吸収に対応する鉱物種を特定することはできなかった。しかしながら、地球でのスペクトル・ライブラリや鉱物の中分散分光についての先行研究を掘り返してみると、これらの吸収の起源として最も有力なのは、(bi)carbonate or (bi)sulfate anions in framework silicates または (Fe, Mg)-OH bonds in sheet silicates である、というところまでは同定できた。これらの吸収帯が仮にphyllosilicates*1によるものならば、火星スペクトル中に見られる非常に幅の狭いcation-OH吸収線について調べ、地球の鉱物スペクトルと比較すれば、きっとうまい説明が見つかるだろう。

*1:フィロ珪酸塩(=層状珪酸塩。)