日の丸宇宙望遠鏡てwwwそれはないだろwwww

asahi.com、2008年01月07日20時53分の記事より。

日の丸宇宙望遠鏡、12年にも 大学連合打ち上げ目指す

 東北大学などの研究者グループが、宇宙空間から太陽系の惑星を観測する望遠鏡衛星の開発に乗り出した。世界初の試みで、2012年初めの打ち上げを目指す。宇宙では大気が邪魔しないため、小さくても、すばる望遠鏡(米ハワイ島にあり、口径は世界最大級の8.2メートル)に近い精度での観測が可能。地球の兄弟である惑星を集中的に調べることでその素顔に迫り、地球を深く知る手がかりにもなると期待される。
 衛星の開発には東北大のほか、東京大、京都大、九州大などから約100人の研究者が参加。このほど、宇宙航空研究開発機構が開発中の新しい固体ロケットで打ち上げる小型科学衛星シリーズの1号機候補に内定した。費用は数十億円の見込み。
 計画では衛星は縦、横、高さが2メートルほど、重さ300キロ程度で、高度約500キロの軌道を回る。口径30センチと20センチの望遠鏡を搭載する予定で、水星、金星、火星、木星土星を観測し、大気や気象などを調べる。
 宇宙望遠鏡としては、米航空宇宙局(NASA)が90年に打ち上げたハッブル宇宙望遠鏡(口径2.4メートル)が、遠方の天体の観測などで大きな成果を上げている。
 グループのまとめ役の一人である東北大の高橋幸弘講師(地球物理学)は「惑星だけを継続的に詳しく観測できるので、これまでの惑星観を塗り替えるような成果が期待できる」と話している。

幸弘さん、強気だなぁ。「口径30センチと20センチの望遠鏡を搭載する予定」って‥‥(以下自粛)。とにかく今週末に経過を直接報告してもらえるのでそれまで待とう。
補足しておくと、一番重要な目標は、政治的には、おそらく事実上、金星大気観測となるだろう。これはJAXAがその前に打ち上げる予定のPlanet-C計画即ち金星探査機計画とのタイアップ観測で一気に行ってしまえ!というかタイアップしてデカいヤマを当てないとすぐに「無駄遣い」って叩かれるからね。でもサイエンティスト・オレの本音としては、この宇宙望遠鏡が一番「向いている」のは、たぶん木星なんじゃないかなー、と思う。性能の問題で。だって普通にやっても探査機には勝てないから、それなりの解像度で「継続的に詳しく」調べることが向いているサイエンスはやっぱり木星の雲追跡かなー、と。
とにかく、その「約100人の研究者」の一人として、その中でも観測計画立案に直接携わった者としては、好き嫌いはともかくとしても朝日新聞のようなファーストコールなマスメディアで、このように大きめの記事で扱ってくれるのは、とても嬉しいことである。この幸弘さん、ずいぶん昔‥‥10年ほど前には既に、この惑星専用宇宙望遠鏡構想をあっちこっちで言ってたけど、初めは「ふーん。意外に面白そうだけど、まぁそれは(業界の趨勢とかごにょごにょの理由で)実現しないわな」という雰囲気だった。かく言うオレも理想論、惑星屋の遠い夢物語と思っていた。それがここまできた。まさに苔の一念というやつだ。10年ほど前のその頃から珍しい「天文業界上がりの惑星屋」としてお付き合い頂いたことが、今こうやって一員として迎えてくれていることにつながっているのかなぁ、と思うと、なんとなくやってて良かったなぁという気にもなる。

それにしても「日の丸宇宙望遠鏡」はないよなぁ。こっちサイドからそんなことは言わないだろうから、まぁ、朝日らしいっていうか。