氷晶雲によるダストのクリーンアップ効果

『天文月報』vol. 98, No.1 (2005) 掲載の小高&高橋のレビュー論文『火星のダストストーム』を読む。

へぇ。最近はダストの巻き上げも入れたダストストーム作りができるようになったんだ。

ますます地上観測のやることが減ってきてる気がかなりするが、そのモデル屋さん達の次の課題は、今度は『グローバルダストストームが毎年できてしまうのをなんとかする』ということのようだ。

これは最近ぼんやりと考えている課題、即ち『1年以上100年以下の周期の変動はあるか』ということにも関係する。

ダストデビルで維持されダストストームで爆発的に供給される大気中のダストは、おそらく今のところ、モデル的には重力沈降で減らしているはずである。これだけしか考慮していないから、毎年グローバルダストストームを起こしてしまう程のダスト量をキープしてしまうのではないか。

Clancyが言ってたように、氷晶雲によるダストのクリーンアップが効けば、グローバルダストストームが毎年起こるのを防げるのではないだろうか。

一旦グローバルダストストームで大量に供給されたダストは、数年は効くだろう。それを落としてやる効果がどこかで必要である。その謎のシステムとの均衡によって、グローバルダストストームの起こりやすい時期が、10年ぐらいのタイムスケールで発現したりしないものか、というのが上に書いた『1年以上100年以下の周期の変動はあるか』というテーマの中核である。

そこで、まだシミュレーションで考慮されていない効果として、氷晶雲によるクリーンアップはどれほど効くのだろう?というのを考えてみたい、ということだ。
クリーンアップの効果だけを抽出して検討するなら、実は鉛直1次元のモデルで十分なんじゃないかなぁ、という気もする。巻き上げについては、例えば乱数的に地表風を変動させて、それに応じてダストを供給する、と。で、Colapreteがやってたみたいに、それに水を凝結させて成長させて、重力沈降の効果がでかくなるのを見てやる、という案配だ。重力沈降は別に水平方向の移動を見なくてもいいはずだし、凝結に関することだけならば放射平衡ないし放射対流平衡で何とかなるんじゃないか。