西アフリカのエボラ出血熱最新情報

西アフリカのエボラ出血熱流行について、WHOが「新規の陽性確定の感染者数が昨年6月末以来初めて、1週間単位で100人を割り、対策が完全終息を目指す段階に入った」と発表(1/29)し、またそれを受けて米軍の大半が引き上げると発表(2/11)されるなど、「騒ぎ」が終息に向かいそうなニュースが出ている。

エボラ熱の新規陽性、1週間に100人割る:朝日新聞デジタル
西アフリカ派遣の米兵、大半が撤収へ エボラ熱収束受け:朝日新聞デジタル

確かに累計感染者数・死者数が指数関数的に激増していた状況はだいぶマシになっていて、以前のように片対数グラフで描いてしまうと、よく見ないと、増加していないようにさえ見えるようになってきている(本当は、後述するように、僕個人としては「危機的状況はまだ続いている」と考えたほうが良いとは思うけれども)

ちなみに普通のグラフで描けばこうなる。昨秋が悪夢のような状況だったことがよくわかる。最近は増加が緩やかになってきていることもわかるけれど詳しいことはこれでは読み取りにくい。

どちらにせよ、現状の増加状況を見るためには「累計」ではないデータの方が良かろう、と考え、新規感染者・死者の1日当たりの増加数(つまり増加率)をプロットしてみた。

1日に150〜200人ずつ患者が増え100人ずつ死んでいく悪夢のような状況に比べれば、だいぶ増加率が下がったことがよくわかる。現地に入って活動してくれた人々のおかげである。
が、それでも、いまだに、1日当たり50人超の新規患者数が発生し、1日当たり25人超が亡くなっている。これはやはりまだまだ相当に危険な状況だと、僕は思う。「なーんだ、アメリカ帰っちゃうんだから、エボラもう大したことないんだね」なんて状況では全くない。
ただし、同じくWHOの発表(2/5)では、

 WHOのエボラ出血熱対策特別代表にも就任したエイルワード事務局長補は5日夕の記者会見で、リベリアで全ての新規感染者が、これまでの追跡調査結果をまとめた「接触者リスト」から確認されたほか、他の2国でも多くが接触者リストから確認されるようになっていると指摘。「全ての新規感染者が接触者リストに含まれるようになれば、ほぼ制御した状態になる」と述べた。
(出典:エボラ熱の死者、西アフリカで9千人超える WHO発表:朝日新聞デジタル

つまり、新規の患者のほとんどは、既知の罹患者の「接触者」として把握されている人々から出ている(=「接触者リスト」の範囲内である=想定の範囲内)とのこと。

米軍撤退と関係なく、「制御」が進むことを願うばかりである。