ネタになる『統計データ』(松尾貴史)

ネタになる「統計データ」 (講談社プラスアルファ文庫)

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  • 著者: 松尾 貴史
  • 価格: ¥600
  • 文庫: 176ページ
  • 出版社: 講談社 (2011/7/21)
  • ISBN-10: 4062814358
  • ISBN-13: 978-4062814355
  • 発売日: 2011/7/21


キッチュ」こと松尾貴史氏の著書である。世相を反映する、あるいは新聞やWeb上で発表された統計データをネタにした、夕刊ゲンダイ紙上の連載コラムが文庫化されたものだ。軽妙な語り口が相変わらず毒を吐きながら冴える。この人、ホント頭いいなぁ。

「統計データをネタに」というニュアンスのタイトルだが、実際には、統計データから「結論づけられる(ように思われる)こと」を叩いたり伸ばしたり斬ったり貼ったりしている。見開きで1話で、冒頭にネタ元の統計データ(のようなもの)が提示してあるのだが、殆どの話題でその「統計データの提示」そのものには意味が無いように思われた。

このように、データそのものについてのツッコミが少ないことは意外だった。キッチュなら、その気になったら数字自体をもてあそんで見せることもできるだろうに、と思うと少し惜しい。「専門家じゃないから(=余計なことを言うと叩かれる)」という大人的判断もあったのだろうが、僕はそういう方向に力点があることに期待していたので、その点に関しては正直、残念だった(もし数字に対するツッコミが多ければそれだけ授業のネタにもなるわけだ‥‥ははは)。そんな変な(よこしまな)期待をしなければ、普通の連載コラムとして相当に楽しい。