被曝線量の「限度」は信頼できるのか?(その2)
「暫定規制値」そのものについて。
ヨウ素131が「暫定規制値」を超えたというニュースが3/23夜に報じられ、すぐに「大人は大丈夫」などと追加情報が出たものの、首都圏は軽くプチ・パニックになったように見えました。
この「暫定規制値」については、WHOの基準と違うじゃないか、という話が出回っているようですが、少なくとも食品安全委員会の発表によれば、この「暫定規制値」はICRP勧告に準じているとのこと。従って、その数字自体は国際的に筋の通ったものと言えます。
- さらに、いま問題視されているヨウ素131、セシウム134&137については、今回のような緊急事態の基準に関する基準としては、国際標準とされる国際原子力機関(IAEA)の安全基準(※PDFファイル)に比べると、「暫定規制値」のほうが10倍厳しい基準です。
なおもう少し正確に突っ込んだことを言うと、IAEAの緊急時の判断基準「レベル5」(α+β線の総量=100Bq/kg)は、残念ながら超えています。これを超えるとダメ、ではなくて「レベル6基準に沿って(総量ではなく)種類別にきちんと測定せよ」とされます。で、測定の結果、IAEA基準レベル6は超えておらず、国際標準としてはOKと言えたのですが、日本の「暫定規制値」のほうが10倍厳しいので引っかかった、ということです。
- そのIAEAの定めた食品・牛乳・水の消費の緊急時の基準値(OIL6)はそれぞれ以下の通り:
これらのことから、少なくとも、
- 「暫定規制値」は政府や東電etc.が都合良くあつらえたものではなく、むしろ国際基準のほうが10倍ゆるいこと
- 「暫定規制値を超えたから即もう死んじゃうー!」、ではなく、かなり余裕をみたものであること
もちろん、この情報で「安心できるか」は人それぞれなので、あくまでも皆さんの「判断の根拠」にして頂ければと思います。
ただし、上記のIAEAの安全ガイドによれば、緊急事態が収束した後のことはWHOの基準または国内基準に沿って判断すべし、としています(p.39)。このWHO基準については僕は現在調査中です。