放射線/福島第一原発に関する情報提供(私家版)

僕の周辺に情報提供をしたので、それを以下に転載。ただし、このまとめをしてから数日経ち、事態も情報も更新されている可能性があるので注意。

全体像

まずは全体像を把握して落ち着くにはこの動画を見るのが一番です。

うんち・おならで例える原発解説〜「おなかがいたくなった原発くん」
http://bit.ly/gmnR6s

※これ↑、ネタっぽく見えますがよくできたたとえ話でして、研究者仲間内では絶賛d(^_^o)


以下、私の最近のツイートから、皆さんの理解促進・不安解消のために役立ちそうなものを選んで(ちょっとだけ編集して)お届けします。

放射線被曝の人体への影響<基礎知識編>

  • 妻と話していてわかったのだが、必要な知識を持たない人々は、放射性物質放射線の害の話を、伝染病のイメージでとらえている可能性がある。さわるとうつる、風に乗ってくると「病気」が広がる、というイメージは間違いですよ!
  • 「遺伝的影響」は、広島・長崎の大規模な実証的調査で、「影響あり」とは言えない、という結論になっています(既に存在する胎児への影響は遺伝的影響ではない)
  • 400mSv/hが出た現場で100mSv被曝した作業員(神!)は悪心で運ばれた。それでも【回復する】のである。被曝し過ぎれば回復不能になるがまだまだ足りない。それより放射レベルの下がった現状では数十km離れて屋内退避中の人に影響が出るとは考えにくい(外部被曝では)。
  • 基本的には「細胞がぶっ壊れる影響」と「DNAが変化させられる影響」の2種類があります。「細胞がぶっ壊れる影響」は、「これぐらい浴びても大丈夫」という限度がはっきりしてます。言い換えると「安全な浴び方」が確定しています。
    • 「DNAが変化する影響」は、なまじその細胞が生き残ってしまうことがあるので考え方が難しいですが、要は「確率の問題」です。DNAが変化するということは要するに突然変異です。その確率は被曝線量が増えるとアップすると【仮定されています】。
      • DNAへの影響の発生確率が被曝するほど上がるという仮定は、【大量に浴びる場合】にはヒトで確認されてます。
    • 低線量の被曝の場合、はっきりしませんが、大量被曝の場合からの予測よりも小さい確率(半分以下)ではないかと言われてます。
      • 18〜65歳の間、年に50mSvのペースでずっと被曝し続けたとしても、年間がん死亡率はざっと9%と見積もられてます。年10mSvなら2%程度。
  • ということで、現場付近でないところでの観測値からは、タバコの発ガン性のほうが高そうだと言えるかなと。

●人体への影響<現状編>

  • 日本CA協会(@CAjapan)のツイート: 日本ーニューヨークのフライトでの放射線量は200マイクロシーベルト。昨日東京で観測されたのは普段の数十倍とはいえ僅か0.8です。月に80時間飛ぶ私たちCAは、相当な被曝量ですが健康に生活できています。パニックになっている方に伝えましょう。落ち着いて、希望を持ちましょう。
    • 「日本ーニューヨークのフライトでの放射線量は200μSv」で「月に80時間飛ぶ」。日本-NYのフライト時間を14時間として換算すれば毎時14.3μSvで、年間13.7mSvになる。発表される数字の理解の参考に。
  • 官邸(@Kantei_Saigai)のツイート: 【福島第一原発】長官会見(16:30)/原発から半径20kmより外、30km以内においてでも、外で活動しても人体に影響を与えるような放射線量の数値ではないので、民間の物流等の事業者の方は落ち着いて対応をお願いします。
    • 「官邸の言うことなんか信じられない」かもしれませんが、友人の放射線科医によると「今現状で日本で起こっている放射線量の増加で健康被害というのは考えられないと言っていい」のだそうです。
  • 線源がヨウ素131ならどうせすぐ消えるから良いのだけど。セシウムは厄介だからなぁ。あと「一般の人の上限値」はかなり低く設定されていることに注意。「超えたら即病気」はあり得ない。 > 放射線量、福島県内で高レベル続く
  • 文科省が発表し始めた各地の放射線量の観測値マップを用いて、どこがどれぐらい危険/安全なのか自分の手で量的に見積もりたいのはやまやまですが気力がないです。代わりにやってくれてる記事がありますのでご紹介 ⇒ 3月18日朝までの放射線レベル概況と今後の行方 by 永松和洋
  • ご一読を。> 日本医学放射線学会からの一般市民向けのメッセージ(Q&A)
  • 東北大加齢医学研究所 川島隆太教授のコメント。科学者は良心がある限り「絶対に」安全とは言わない。その他いろいろ秀逸。放射能の影響をどうとらえたらよいのか? - 河北新報社

●現象に関して

  • 炉心溶融」(メルトダウン)にも程度があることにみんな気付いているのだろうか。「セシウム137が出たらしい=炉心溶融=もう終わりだー」説があるようだが、一部だけ融けた状態で済んでいるかもしれない。
  • 明示的には書かれていないけれど、いくつかの記事や人々のコメントを見ていると、「臨界に達する=核爆発」と思っている節がある。臨界に達したら必ず核爆発に至るわけではありません。実際に、今までに起こった「臨界事故」では核爆発は起きていません。「原子力のところが爆発」と、「核爆発」は意味が全く違います。臨界事故で「爆発」が起こったのもチェルノブイリの1例だけです。
  • ヨウ素131はなかなかの線源ですが半減期は8日。ひと月ほっときゃ見えなくなるでしょう。わーわー言ってる間に消えるということ。
  • 最悪の事態=炉心溶融放射性物質大量拡散のような報道だが間違い。炉心溶融の後、容器や建物が壊れたら漏れ出すかもしれない。それでも爆発を伴わなければ「大量」漏れにはならないはず。爆発しても炉心は重いので遠くまで飛ばない。
  • 東北での深刻な物資不足の原因の1つは、「トラックの運ちゃんがホーシャノーを怖がって運転してくれない」のようです。完全に風評被害です。現在、原発から半径20km圏外はまず安全と言えるでしょう。今以上のうわさを広げないよう、ご協力下さい。

●報道に関して

●その他有益情報