30代とは

30代になるとはどういうことなのか。20代との違いは何か。‥‥そんなことが世間話の俎上にのったことがあった。30代半ばにさしかかる俺がその時に無い頭で何を考えたかというと、どの分野なら知った風な口をきいて良いのかわかるだった。よく言えば、後輩にある一定の自信を持って指導ができるとなるかもしれない。
ソクラテスの言う無知の知に相当するのかどうかはよくわからないが、自分が如何にものを知らないか、今まで自分が如何に偉そうな口を利いていたか、ということには、20代後半には気付き始める(そうであって欲しい)。だからその頃には、ものが言えなくなるというか、ノーと言えないというのか、あるいは誰かに「指導」をすることがつらくなる。
しかし30代になると、「これについては、いろいろ悩んだけど‥‥やっぱり、たぶん、俺、間違ってないよね?」とか「ひょっとしてこの人、知らないんじゃないの‥‥?」とかいうのが少しずつわかるようになってくるように思う。「少なくともこのことに関しては」発言権がある、という「このこと」が分かるようになる、というのかな。もちろんそれは逆に「このことでなければ俺からはお話しすることなんてありませんよ」ということでもある。
それができるようになる理由は、周りの人々を観察する能力の向上のためかもしれないし、自分自身の評価の適正化が図られたせいかもしれないし、あるいは自分自身の「立ち位置」が把握できるようになるせいかもしれないし、それら全てかもしれない。
なーんて偉そうなことを書いているが、せめて、「おそらく40代の方々からすれば鼻で笑う価値もないことを言ってるんだろうな」と想像するぐらいの羞恥心は持っていることだけは付記しておく。