恐竜と鳥類の進化:人類の理解の歩み, 真鍋, JGL, Vol. 5, No. 1, 2009

かつて恐竜はK/T境界での環境変化に適応できず絶滅してしまったとされていたが、現在では、恐竜の一部は鳥類に姿を変えて、現在も進化を続けているとする見解が一般的。(←マジか!知らんかった!!)

ゴーティエ(1986)は獣脚類と鳥類の分岐分析を行い、手首や肩、骨盤など、骨格の80以上の特徴が、鳥類と一部の獣脚類にしか見られない形質(共有派生形質)であることから、両者は共通の祖先から進化してきたとする仮説を提示した。

獣脚類の羽毛は鳥類の羽毛と相同で、羽毛の基本構造とその形態的多様性は鳥類以前の段階で完成していたと考えられるようになった。羽毛は数ある形質の一つに過ぎないが、骨格だけではなく、表皮という形質からも、鳥類と一部の獣脚類の共有派生形質が示されたことは重要だった。

羽毛や叉骨など、かつては鳥類にしかないと思われていた形質が、獣脚類にも見出されたことから、羽ばたいて飛行できるかどうかが恐竜と鳥類を分ける境界線だとされるようになった。

その後、「後輪駆動」(=後肢で走る)獣脚類から「前輪駆動」(=前肢で飛ぶ)の鳥類への移行段階に、四翼で滑空するような段階があったらしいことが示唆された。

鳥類と恐竜の分岐点に近づくほど、鳥類なのか恐竜なのか微妙なものが続出してきた。これは恐竜から鳥類への進化がそれだけ連続的であったことの表れなのだろう。

鳥類の恐竜起源説は、骨格、表皮(羽毛)に加えて、卵殻の微細構造(多層構造)、生理(恒温性‥‥1970年代に恐竜温血説が登場している)、呼吸方法(気嚢を持つ)など、様々な証拠に基づく堅牢な仮説となった。