生命の起源と初期進化〜何がどこまでわかっているのか?〜, 山岸, JGL, Vol. 4, No. 1, 2008

生命が地球上にどのように誕生したのか?無生物から生物に変わるその境目は?‥‥という研究に関する最新レビュー。非常にわかりやすく、この論文自体がレジュメになっている。以下、簡単にメモ。

プロティノイド

  • プロテインとの違い
    • プロテイン(タンパク質)=アミノ酸は「機能」を持つような特別な配列
    • プロティノイド(タンパク質類似物)=アミノ酸はランダムな配列なので「機能」を持たない
  • 溶液中で数μm程度の球「プロティノイド・ミクロスフェア」になり、内部に物質を濃縮する性質を示す
  • 非常に弱いながらも反応を触媒する活性を示す
  • このような性質をより強く示すミクロスフェアは、体積を増加させやがて分裂する
  • 溶液中で分裂を多く繰り返すミクロスフェアがやがて溶液中で優位になっていく(オパーリン, 1966)

RNAワールド

  • DNAもRNAも「機能」を持たないとされていたが、1980年代になって、RNAも機能を持ちうることがわかった
  • RNARNAを複製し(遺伝)、別のRNAは別の機能を発揮するような生物の世界「RNAワールド」が提唱されている

DNA生物の誕生

RNAから酸素が抜けてDNAになった

  • この酸素は、機能発現のキーになるものだったので、DNAは機能を持たなくなった。
  • 同時にこの酸素はRNA分子の不安定性の原因でもあったので、この酸素が抜けることによりDNAは安定になり、遺伝情報を安定に維持できるようになった

その他

  • かなりの有機物合成が非生物的に進行しうることがわかっている
    • でもRNAが作れるかどうかは定かではない
  • 現存生物からのアプローチからは、全生物の共通祖先が超好熱菌である、という実験的証拠がある

議論の的というか、議論するべきポイントがいろいろあるが、長くなるので略。