2009-03-13 「赤潮の地球〜クロロフィル分子化石と温室地球〜」, 大河内, JGL, Vol. 3, No. 2, 2007 研究 白亜紀に形成された、石油の根源の「黒色頁岩」の生成についての研究。 白亜紀(約1億年前=100Myr)の特徴 CO2濃度高い(今より一桁多い)=温暖化がかなり効いている 速いプレート移動速度 巨大火成岩区の形成 地磁気静穏期 高い海水準 黒色頁岩の形成 生物の大量絶滅 黒色頁岩 汎世界的に数10万年にわたって堆積 石油の根源岩 異常に有機物が濃集(有機炭素の重量比が50%を超えるものもある) 海洋全体が無酸素になることによって有機物の分解速度が遅くなり、有機物に富んだ黒色頁岩が形成 このイベントを「海洋無酸素事変(OAE: Oceanic Anoxic Event)」と呼ぶ。 現在でも無酸素の水塊は各地に見られる(代表例: 黒海)が、必ず黒色頁岩が形成されるかというとそうでもない。 本研究では クロロフィル中心環を起源とする化合物ポルフィリンの量とか窒素同位体比をを独自の方法であれこれ測定した。 ポルフィリンの良いところ=窒素を含んでいる=窒素サイクルの情報が窒素同位体比として記録されている わかったこと 窒素固定によって植物プランクトン細胞中に取り込まれた窒素がクロロフィル合成に使われた 当時の一次生産者は主としてクロロフィルαを生合成する生物だった この2つの条件を満たすのは窒素固定能をもつシアノバクテリアしかない 結論 黒色頁岩形成時期には、窒素固定能をもつシアノバクテリアが、海洋表層に大量に存在した(主要な一次生産者であった) 議論 現在でも窒素固定能をもつシアノバクテリアは硝酸に枯渇した貧栄養海域において巨大なブルームを起こす。 黒色頁岩形成時期にはシアノバクテリアの赤潮が頻発していたのでは? 参考:紅海(Red Sea)は数十〜数百年に一度シアノバクテリアの赤潮が起きて海一面を真っ赤に染めることから名付けられた 別の調査で、黒色頁岩堆積と同時に大規模火山活動があることがわかった。 巨大火成岩区の形成と関連があるのでは?