ミニ・マジックショー@きょうかんカフェ

大学祭であれやこれやと仕事があるわけだが、「隙を見て抜け出して、マジックショーをしてくれ」と頼まれる。頼まれたら「イヤ」と言えずに"Yeah!"と言ってしまうオレなので引き受けてしまう。スケールとしてはサロン規模だが、「心の距離感」は披露宴などのパーティと違い、むしろストリートに近い。「通りすがりに鍋やってるから入って座って食ってたらなんか知らんけどマジックショーが始まった」的なかんじ。

1回目:昼過ぎ

  1. Color Changing CDs(しゃべる版)(オレ?もしくはトリックスの誰か?)
  2. Acrobatic Knot (Daryl)
  3. Jumbo McCombical Deck (B. McComb)

当初の目論見ではしゃべらずにやるつもりだったのだが、最初のCDネタの、最初のカウントで間違う体たらく。ちょっとごそごそやり直して仕切り直すことになり「しゃべり版」に移行。演技はグダグダ/冷や汗ダラダラのまま次に突入。
アクロバティックノットは予想より好印象なリアクションだった。実は家を出る前に少し手順をさらっておこうかなと取り出した瞬間、嫁さんから「結び目が○○ってやつあるやん?あれって意味ないと思うわー、だってそれって最初から△△ってことやん」といきなり本質的なダメ出しを食らっていたという失意の中での演技だったので、お客さんの食いつきに少し安心。ただ、右前方目の前のテーブルの客には握り損なった○○がフラッシュしたっぽい。
マコミカルデック。完全に動揺しっぱなしのまま突入。今まででも最悪の出来。ホスピタリティがどうのこうのと言ってるやつが何をやっとるのだというところ。具体的に書きたくないが、とにかく、最後まできちんと「助手」のケアをしよう。それだけ。

2回目:夕方

  1. Color Changing CDs(しゃべらない版)
  2. 超スプーン曲げ (テンヨー)
  3. オレのマンモスカード4Aのルーティー
    1. Overture (P. Goldstein)
    2. Twisting the Aces (D. Vernon)
    3. Weighted Aces (G. Wilson's version of Daley's Last Trick)
  4. My Large Linking Ring Routine (オレ)

こんどのCDの手順は、手順は上手くいった。クロースアップと違い、ハンドリングとディスプレイの兼ね合いが難しい。まだまだ調整の必要ありである。きっと、単にいい作品っていうだけでなくオープニングアクトとして良い作品なので、もっとビシッと見せる(学生マジックのあの「キメポーズ」という意味ではない)方法を模索するべきなのだろう。
超スプーン曲げは、ちょっとごにょっとなってしまったので、何かがフラッシュしたテーブルがあったようだが、結構盛り上がった。単純に1本を曲げただけであるが、やはり破壊力抜群である。オープニングアクトでも良かったかもしれない。
マンモスカード4A。技術的にはやはり角度が難しい。前を下げなくては。他は後述。
リングは、やはりやり慣れている、いわば「鉄板」なので、ラストに持ってきたが、それまでのグダグダを吹っ飛ばすことがある程度できたようで良かった。

反省会場

田豊実師は、個人レッスンの生徒さんに、例えば「年間100ステージ」を課すという。コマーシャルなことを差し引いた要素のみを取り出して考えれば、やはり手品は(そしておそらく「芸」一般に通じることとして)「やってなんぼ」であるからして、継続して演じ続けなければ、レベルの向上はもとより維持することすら難しい。そんなことは長らくのサックスプレーヤーとしての経験から身にしみて分かってはいるのだが、ヘタな手品を見せまくってきた反省ができるようになってからは、どうもやりにくくなってしまい、結果として月に一度、ひとネタ演じることがあるかどうか、ぐらいの頻度になっている。たぶん、選択としては、プロないしセミプロとしてやってるわけじゃない一介の手品愛好家としては、そんなに間違った選択ではないと思う。
何が言いたいかというと、カンが狂っていた、ということなのだ。簡単に言えるところでは、例えば適切な「セリフ」がパッと出てこないのである。もちろん事前にアタマの中にはセリフが入っているが、そんなもの現場ではその通りになるはずもない。アドリブの方が活きたセリフになるのは当然であるから、それは積極的に活用すべきである。しかしどうも空気の読めた言葉・動作にならず、ことごとく「外して」いるのである。
ふじいあきら師は「作業の部分には能力の30%ぐらいしかかけずにできるようにならないと、空気を読んだパフォーマンスができない」と言っていた。そういうことなのだ。そして、コンスタントに演じ続けないと、そこまで行かないのだ。あとは、オレにとって、その「コンスタント」をどのように設定するか、である。