フリーペーパーの衝撃(稲垣太郎)


フリーペーパーの衝撃 (集英社新書 424B)

  • 作者: 稲垣太郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 定価: 714
  • Amazon 価格: 714 円(2008年06月13日 07時29分 時点)
  • 発売日: 2008/01/17
  • メディア: 新書
  • ISBN: 9784087204247



最近新書ばかり読んでいるのだが、本書は、久々のヒットである。
本当に、世の中は知らないことばかりだ。ずっと以前から(小さい頃から!)知っている『リビング北摂』、学生〜研究員時代よく利用していた『ホットペッパー』、産休の嫁さんの愛読書?だった『ぱど』、これらがこれほどまでに世の中に影響を及ぼしていたとは!!
たとえば、街の本屋が苦戦を強いられていることは時折マス・メディア等で取り上げられるので、少しアンテナの高い人ならば、それがアマゾンをはじめとするネット通販のあおりを受けていること、それを支えるライフスタイルの変化があることなどは知っているだろう。しかしそれにトドメを刺しているのがこのフリーペーパーなのだ。
こう言うと害悪のように主張する人がすぐに現れるものだが、そうではない。世の中、大衆は、便利なもの、安価なものへと動くものなのだ、と言ってもバチは当たるまい。そしてフリーペーパーの演ずる役割はそんな害悪主張主義者が言うような小さなことには全然留まっていないことが本書で明かされる。「フリーペーパーは紙媒体のインターネットか?」そんな言説もリアリティを帯びてくる。もうコンテンツを囲い込んで価格で勝負する時代は、紙媒体でも、終わっていたのだった!
良いコンテンツにはお金を払うし、悪いコンテンツはタダでも見ない。そしてそれでもコンテンツ・クリエータという職業が成り立つ。‥‥こういう状態というのは、考えてみれば、ものすごく当たり前というか、ものすごく健全なあり方ではなかろうか?そんな「当たり前」の世の中が、今の混沌の先にあるのだろう、いやあって欲しい、と思ってしまう。