夕焼け実験再開へ向けて問題点の整理

まず、粒度分別だ。水中での粒度分別ならばいろんな意味で簡単だが、分別後どのように資料を取り出すか、が難しい。濃度が高くなると、あるところからコロイド状態が崩れて粒子同士がくっつき始め、せっかく小さくした粒子がまた大きくなってしまう、ということが以前の実験で分かっている。そりゃそうだ、だって疎水コロイドなんだもの。これが乾燥まで至ったら瀘過した意味が無いぜな状態になるに違いない。

水中分別を行った場合、最後まで水中で行わなければならないということになるが、その場合、水、ないし分散媒との相対屈折率が火星ダストと大気の間のそれに相当するような分散媒・分散質のペアを探さなければならないことになるが、水よりも(この実験にとって)有意に小さな屈折率を持つ液体は無さそうだ。では分散質のほうはどうかというと、これもかなり難しい。ストライクゾーンが高く幅が狭いのだ。

従って、なんとか空中で粒度分別を行う必要がありそうだ。空中ならば、極端に言えばそのへんの砂を使えばいいから屈折率の心配は皆無と言っていい。

なので、あとは粒度分別ということになる。自然界(というか火星大気中)での粒度分別は、大気の運動とダストの沈降による効果、それから巻き上げられることが可能なサイズの制約によって達成されていると予想されるが、それを無理矢理実験室で行わなければならない。

空中での粒度分別がなんらかの実験室的な装置で可能ならば、試料の量も、また対応する実験容器の大きさもさほど必要ではないだろう。

それが不可能な場合には、大きな容器中に多くの試料をバラまき、自然沈降で粒度分別を行う、というか粒度ごとの成層ができた時点で層ごとの散乱特性を測定することになる。そんな装置が作れるだろうか、というのが大きな問題点だ。

だから、

  1. K社長に、『空気中での粒度分別できますか』とお伺いを立てる。いけそうなら、協力を仰いで、試料作成にとりかかる。
  2. 無理なら、試料作成よりも先に実験容器の設計に入る。

ということになるだろうか。

いずれのケースにしても、容器の幅というか奥行き、つまり光路の長さについて考察しておかなければならない。明日はこれについて考えよう。ということで、久々に、

明日やること

  • Ebisawa and Dollfus (1993)の§8をノートにまとめてじっくり考える
  • 実験容器の光路長について考える