絶妙な「速読」の技術(佐々木豊文)

絶妙な「速読」の技術―この本を読むだけで速読脳開発のトレーニングができる「例の方法」 (アスカビジネス)
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  • 著者: 佐々木 豊文 (著)
  • 単行本: 250ページ
  • 出版社: 明日香出版社 (2005/10)
  • ISBN-10: 4756909183
  • ISBN-13: 978-4756909183
  • 発売日: 2005/10
  • 価格: ¥1,365
  • おすすめ度: 全く薦めない


これはひどい

いや、この手の本は、結構存在するのであるが。

この本は、一言で言えば「パンフレット」あるいは「チラシ」である。自身が主宰する「速読教室」に来ればこの本に書かれているような素晴らしい世界にいけますよ、と言っている。以上である。肝心の速読メソッドには一切触れず、読書のためには健康管理が必要であるとか、読書に必要な体力を鍛えようとか、読書のための技術は読書でしか得られないとか、本当にどうしようもないほどどうでもいいことしか書いてない。

数年前だろうか、「絶妙な○○の技術」というタイトルの書籍が、一時期、本屋で平積みされていることがあった。本書はその1つ。シリーズもの(?)だから、と購入したのだが、まさかこんな本だとは。本シリーズの他の本も同じレベルではないかと疑わざるを得ない。少なくとも、この「絶妙」シリーズは、衝動買いしてはいけない。せめてAmazonのレビューを見てから買おう。

とまぁ、返す返すも、こんな本に1,365円も出してしまった自分自身に残念であるのだが、最も残念なことは、本書を読んでいて、僕が読んでいる本には速読は通用しないのだな、と分かったことだ。つまり、文章を追っかけて行くだけで終わるような本は読まないし、追っかけて行くだけなら僕だってそんなに遅くはない。むしろ、書いてある文章から目を離し、虚空を睨みながら考えなければならない本や、一文の意味を理解するために他の本を読まなければならないような、「論」を読んでいることが多いのである。そういった書籍でも、この著者の言う通りにすれば、何度も読み返す必要がなくなったり、頭の回転は速くなったりするのかもしれない。しかしなお、書いてあることを読んだあと乃至読んだ瞬間に、それを自分に取り込み(解釈)、考え直し(反芻)、自分なりの意見を持つ必要があるような「論」を「速読できる」とは到底思えない。

「インプット」の時間を少しでも減らせたら、と思ったのだが、残念だった。他の無駄な時間を削らねばなるまい。