簡単な手品への傾倒

手品人として(細く)長くやり続けているが、本当に、(技術的に)簡単な手品をきちんとやれることは大事だなぁ、と思う。実際、そういう手品は、「強い」。
よくここに書いているが、俺のような素人マジシャンが何か演じる機会というのは、松田道弘氏の言うような「アマチュアなんだから断ればいい」ような場合は、原則的に存在しない。普通に暮らしていて、そこで手品が「自然に」始まることなどあり得ない。「幸運にも演じさせて頂けるめったにない機会」なのである。たいてい、手品的には劣悪な環境なのである。角度に弱い手品はまず不可能。相当に角度に強い手品ですら難しいことも多い(一度、小学生が居る場でアンビシャスカードを演じた際、気がつくと右肘の後ろから覗き込まれ大騒ぎされたことだってある)。そういう時、本当に基本的な手品は「強い」。たいてい「やめときゃいいのに」をその場にチューンして演じて、「ああ、もっと簡単なやつを覚えておけば良かった」と後悔する。
ただ難しいのは、簡単な手品というのは、往々にして「地味」なので、ショーアップできるかどうかが問題だ。不思議さをきちんと示すのも難しいが、その上で楽しくないといけないのがさらに難しい。