H-IIAロケット17号機打ち上げ撮影ダイジェスト(1)

May 16

種子島空港に着陸したのが18時過ぎ。19時過ぎに宿にチェックインし、先回りしていた技術者のS木氏にサーバマシンを預ける。サーバマシンが不調なので急遽呼び寄せたのだった。その後、たまたま同じ宿になったS藤さんと夕食兼ミーティング。S木氏は徹夜である。役に立たない俺はすることも無いので授業の準備と週末の研究発表のポスターの制作。

May 17

3時起床。撮影は代替機を使うことに決定。
4時現地入り。早朝にロケットが格納庫から発射台に移動するのだが、それを撮影しに行くツアーが組まれており、参加しようという目論見だ。我々にとっては数少ない予行演習でもある。しかも今回はサーバが代替機なので勝手が違う(コネクタの数などが微妙に違う)ので重要である。現場での電源確保は、MHI様のご好意により発電機をお借りすることができた(大感謝)。近くまで行けると言っても知れているが、それでもでかいことは十分にわかる。ドーム映像にしたときにどれだけの臨場感が出るのか‥‥少なくとも現場ではそのでかさに驚くと共に、サンダーバード1号の出発シーンのムチャっぷりを実感することとなった。
終了後は竹崎展望台のプレスセンターに戻り、データのチェック後、雨対策のブルーシートなどを購入するため中種子町のホームセンターまで買い出しに。
戻った後、現場でのセッティングリハーサルとなった。やはり機材が多いので、場所が変わると勝手が変わり、いろいろと困難が発生する。プレスセンターから撮影現場までサーバマシンを運ぶのが非常に危険。軍手やロープなどを追加購入するためもう一度車を出す。時が進むにつれてどんどん晴れていき、素晴らしい眺めとなったので、せっかくだからリハーサルを兼ねて1分ぐらい撮影してみた。
巨大なデータ量のため、データはその都度バックアップせねばならないが、外付けHDDはUSB接続のため、20分ほどのデータが500GB、転送時間が6時間ほどかかることが判明。ところが16時に停電があるため、この停電を挟んではバックアップできない。停電後、バックアップを仕掛けて、K氏の現場入り&ご挨拶を済ませて退出したのが17時半。
南種子町市街で夕食を済ませ、宿へ帰投。ロビーでかつての教え子に出会う。「何してんの?」「あの研究会が」あー、そういえばこっちで同業者が集まって研究会するって言ってた。それが同じホテルらしい。打ち上げが終わって撤収したら、寝る前に顔を出すか。北大のK本さんが来てたら例の「今度こそ日本初」の衝突クレータの件について相談しよう。

May 18:打ち上げ当日

0時起床。1分間の暗闇の合議の末、睡眠時間を1時間延長することに決定。
1時起床。身支度し、コンビニで朝食を確保する。野生動物の飛び出しに気をつけながら2時頃現場入り。
前夜に仕掛けておいたデータバックアップ作業は滞り無く終了。カメラの雨合羽の工作や降雨予想情報のチェックをしながら待機。プレスセンターから撮影現場への通路が真っ暗で非常に危険なため、どういうタイミングでどのように運び込んだもんやらと悩む。
3時過ぎ。荷物を現場に運び込み開始。ぽつぽつと雨粒が‥‥
4時になり、報道各社の人々がプレスセンターに急に増えてくる。前夜に仕込んでおいたブルーシートを引っ張りだす。手すりにくくりつけておいたのだが、誰かが端を持っていないとテントというか「屋根」にならないので、一番役に立たない俺が持つことになったのが4:40。以後、前夜からの強風も勢いを弱めることも無く、どんどん雨脚が強くなり、俺はゴミ袋をかぶり、ヘルメットをかぶり、張ったブルーシートの下でセッティングが進む。
5:44。60分前のカウントダウンのコール。以後、5分ごとにコールがある。雨脚はどんどんつよくなり、まるで台風の現場からの中継のような有様のまま準備を進める。
リフトオフ予定時刻の30分ほど前か?に飛行機が飛んでいるのに気付く。航空管制がしかれているはずなのに飛んでいると言うことは、おそらく上空の調査をしているのだろうと推測。20分前。小高い丘からバルーンが飛ぶ。明らかに上空の状態を把握しようとしている。しかし、GOかNOGOの最終判断はリフトオフ10分前。そしてカウントダウンの10分前のコールがあった!ということはGOだ、ということで三脚に雨合羽を着せた4Kカメラを据え付けたそのとき、打ち上げ中止(正確には延期)の場内アナウンスが‥‥
騒然となる現場、プレスセンター。
7:50頃、記者会見。報道各社から来た記者の勉強不足にあきれる。「雷がロケットに落ちたら支障がある、ということですね?」当たり前だバカ!目ぇ噛んで死ねっちゅうやつだ。国立天文台のAさんが誰が上手いこと言えと的な質問をしていて爆笑。
その後、宿に帰り、ロビーにてなんとか21(金)に設定されることが濃厚な打ち上げの撮影ができないものかと対策を練る。←いまココ