『Yesterday Once More』の歌詞の意味


When I was young, I'd listen to the radio,
waiting for my favorite song. ...
で始まる、言わずと知れた、Carpentersの代表曲である。歌詞の意味について、昔から気になることというか、思うことがあるので、愚説を披露させて頂く。
1番と2番は大差ないので、1番だけ解説しよう。
まず前半のダイジェストは、こんな感じである:

中高生の頃、いつもラジオを聞いてた。好きな曲(※失恋の歌)がかかるとそりゃもうグッと入れ込んじゃってねぇ、いやあ若かった。‥‥と思ってたんだけど、今聞いてもあの頃に戻ったような気がしちゃうんだよねー。
(ちなみに昔、『桃尻語訳 枕草子』(橋本治)を読んで「翻訳とはこういうことか」と何かをつかんだ気がしたのを覚えている。)
「失恋の歌」が、今になって思い出されるわけだから、「今」(歌ってる時)はおそらく失恋中なのだろう、彼氏にふられたのだろうということは想像に難くない。
それはさておき、この「グッと入れ込んじゃって」の続きとして、サビの

Every Sha-la-la-la, every Wo-o-wo-o, still shines
ここは、どうも結構多くの人が誤解しているように思われるのだが、カレンが今まさに歌ってる歌の歌詞として「シャラララ〜」「ウォウォ〜」と歌ってるのではなく、

昔ラジオで聞いてた、好きだったあの歌に出てくる、"sha-la-la-la"とか"Wo-o-wo-o"って、今聞いてもグッと来るよね〜
という意味であるからして、「好きだったあの歌」からの引用なのである。

で、今聞いてもグッとくる、というのはどんな具合なのか。最後の一歩手前までの訳。


When they get to the part where he's breakin' her heart, it can really make me cry just like before.
(あの歌の)カレが彼女を振っちゃう歌詞のところに来ると、今でも(ラジオを聞いていたあの頃と同じように)泣けちゃう。
で、最後のオチの歌詞がこれ。

It's Yesterday Once More
おわかりだろうか?普通に考えれば、「今でも泣けちゃう」ので、

まるで昨日のことのように
ぐらいの訳になるのだろう。しかし、この文は、単文であって、前の文から文法的には切り離された文ということもあり、前の文まででひとまとまりの事情のようにも読める。すなわち、最後の文は、

‥‥ってなことになっちゃう「好きだったあの曲」っていうのは、"Yesterday Once More"っていう歌なのよね‥‥
という風に読めてしまうのである。つまり、"Yesterday Once More"という歌で回想されている歌自身が"Yesterday Once More"である、という、何とも言えないループになっている、というかそう読めるような「掛け言葉」のタイトルのである。Eureka!!
‥‥と中学か高校の時に歌詞カードを読んでいて気付いて以来、もうそういう意味にしか聞こえないのだが、今のところ、あまり賛同は得られていない。深読みし過ぎなのかなぁ。