ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか(梅田望夫)



ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)

  • 作者: 梅田望夫
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 定価: 777
  • Amazon 価格: 777 円(2008年05月19日 14時20分 時点)
  • 発売日: 2007/11/06
  • メディア: 新書
  • ISBN: 9784480063878



ヒット作『ウェブ進化論』の続編、であり、シリーズ完結編である。前作同様、来るべきインターネット社会の予想されるあり方、あるべき姿と、それに対する考え方、身の処し方などが綴られている。根本的な主張は前作とほぼ同じであるが、力点が異なっている。(ちなみに前作の書評はこちら

本作では、来るべき「ウェブ時代」を生き抜くための処世術を、著者自身のこれまでの人生を「成功例」として振り返りながら、「俺みたいに冒険しなきゃウェブ時代は生き残れないぜ!」と説く。この「いかに働くか」という主張に対するオレの意見は以前書いたので省略する。
それ以外の部分は、前作と同じような内容ではあるが、面白いのが「学び方」あるいは「仕事術」、即ちサブタイトルの「いかに学ぶか」に関する記述である。もちろん前作にも書いてあったのだが、前作はブログに書いた記事の切り貼りだったらしく、特に構成がめちゃめちゃ過ぎて理解するだけでも大変だった。それに比べて本作は書き下ろしなので、読んでいて「これを自分に応用/適用するとどうなるのかな?」と前向きな想像力を働かせることが可能なぐらいの内容(と文章力)はある。前作の書評で、オレは著者について「こいつアタマ悪い」と断じたけれども、アタマ悪いなりに、周りにごろごろいる「アタマいい人たち」に追いつこうとするための知的レベル向上の努力を積み上げて来たからこその今の名声なわけで、その「知的レベル向上法」には見るべきものがある、ということだ。
前作を読んでいないと背景事情というか「ノリ」がわからないかもしれないが、前作よりもずっと読みやすいので、本作を読むとようやく前作の内容がちゃんと理解できる、という意味では、いみじくもまさしく「完結編」と呼ぶにふさわしい本であろう。前作を読んであまりの読みにくさに憤慨した人は、本作を併せて読むことを強くお勧めする。
ちなみにオレは著者の挙げていた「資源をネット上に置いておき、手ぶらで仕事をする」というスタイルに、Google DocやGeocities上の自分のディレクトリ、Yahoo Briefcase、.MacのiDiskサービスなどを利用して徐々に移行しようとしているが、なかなか良い感触を得ている。