The Manhattan Transfer観てきた

こ れ が 名 人 芸 か !

オレが今のような音楽的志向・思考・指向・嗜好を持つに至る道のりの中で、極めて重要な位置づけがなされている曲・演奏のうちの一つが、かの大ヒット曲『Birdland』である。Weather Reportが生み出したオリジナルもさることながら、マントラがカバーしたバージョンも外せない。というより、初めて聞いた『Birdland』はおそらくマントラ版だったように思う。そして回り回って、かなりの紆余曲折を経たあとに、これが収録されたアルバム『Extentions』を買ったときは、それはそれは嬉しかった。今ももちろん愛聴している。

そんなわけで、ジャパンツアー、行ってきた。6月23日、ザ・シンフォニーホール

しょっぱなからBirdlandキター!!

以前、Jazz Life誌を購入していた時期に、ジャパンツアーがあって、そのレポートが掲載されていた。2000年ごろのツアーだったはずだ。1986年だったかのジャパンツアーのDVDの印象が拭いきれなかったオレは、その記事に載っていたシェリルの写真‥‥妖怪になってるやん‥‥に超絶がっかりした。そりゃまぁ十数年前の容姿とは違うわな。

それから今回のジャパンツアーに対する予習として、2003年のジャパンツアーのライブアルバムが出てたので買ったのだが、その印象は、オトナ向けというのか、若い頃のエネルギッシュさとか曲芸度合いの少なくなった円熟の味、というような感じであった。容姿と併せて、そういうもんなんだなー、と思った。

だが目前に繰り広げられている「お前らなんぼほど若いねん!」と突っ込みたくなるようなステージはどういうことなのだ。

いや、容姿はそりゃあ80年代のDVDのなにそれからは老けてるけども。でもJLで見た写真ほど老け込んでない。シェリルもお化けじゃなくてむしろ美人のままキレイに年を取ったかんじ。っていうかアランも掲載から7年経っているのに若返ったんじゃないかっていう。

何より若いのが声。みんな70年代の声のまま。強いていえば(元々太い声だけど)少しずつより太い声というかパワーのある声になってたかもしれない。声って老けないんだね。すげえなぁ。

出だしの数曲の間、なんかマイクバランスが良くない感じだったと思う。少し残念。

何曲歌い続けるのかという勢い。実際には1曲ずつソロのコーナーがあったので少しずつは休憩してることにはなるけども、でもMCはほとんどない。

それにしてもジャニスは芸達者やなぁ。何でもできるなぁ。特に、2003年のライブアルバムでも聞けるけど、ハーマンミュートをつけたトランペットでアドリブソロ、を声でやるっていう。アルバムで聴いたときには、ルー・ソロフのソロだと思い込んでいたので、声帯模写だとは初め全く気づかなかった。生で聞いたけど、あれ絶対口の中で小人がトランペット吹いてるって。

とにかく、これが達人の域っていうことなのかと。ただ、だからこそ、ゴージャスなハーモニーが強調されるジャズ・バラードをもっと歌ってほしかったけど。まぁこれはオレの好みだからしょうがないか。

「ホンモノ」に接するというのは、本当にいい経験だなぁと思った。あと気がついたらツアーグッズのTシャツ着てた。