『図解マジックパフォーマンス入門』カズ・カタヤマ著

図解 マジックパフォーマンス入門

図解 マジックパフォーマンス入門

相変わらずいい本をお書きになる。
三部作の最終作となる本書では、精神的な部分に大きくウエイトが置かれている。具体的に何かの作品やネタを知って演じてみようというかんじではないし、例えば第1作のように練習方法のような部分にウエイトがあるわけでもない。師のレクチャーも拝見したことがあるのだが、やはりそういった『思想』『考え方』が知りたかったから参加したのだった。きょうびネタそのものなら本屋で売ってる東京堂出版の本をじっくり読んだ方が手っ取り早いのである。
その思想なのであるが、師はステージからクロースアップまでバリバリのスライハンド派の日本代表な人なわけで、そういう人物ならではの切り口だなーと思った。ステージのことを視野に入れた解説書は希少であろうと思う。
だが、気になることがある。というか師に聞いてみたいと思うことがある。別に問い質したいというのではなくて、純粋に質問したいこと。クロースアップ編の冒頭部分に、プロを目指す人に向けたメッセージがある。ここで『プロを目指すならクロースアップだけでなくステージもやれよ』ということが主張されている。だがステージばっかりやっててプロ志向な人もきっといる(一昨年あたりのブームでのにわかマジシャン以前から好きだった人とか)わけで、そういう人に向けて果たして『ステージやるんならクロースアップもやれよ』と師は言うのか言わないのか、ということである。本書の『クロースアップやるならステージやれ』というのは、クラブのキングが呑んだくれて言ってるメッセージ(これがまた痛快!)とセットになってるのはよくわかるんだが、逆についてはどう考えておられるのか知りたい。
ひょっとしてステージの方が格上、と思ってらっしゃるんだろうか。
まぁそれはさておいて、Mr. マリック師のロングインタビューは必読。『暴露本を出した人が勝手に超能力扱いしたんだ、だって超能力扱いしないと暴露にならないから』『超能力者の路線で行くならこんな芸名にはしない』などなどハタと膝を打つ話が満載であるが、とりあえず師の壮絶な半生に驚け。それからどれだけTV界が病んでいるか、ここでもまた憤りを感じざるを得ない。首相を批判していい気になってる人も多いが、見当違いも甚だしい。やっぱ日本を良くするにはテロ屋さんに頼んでTV局を破壊することから始めないとダメ。