「指が回らない!」という人のためのトレーニング法その1:ストレッチ

id:DrMagicMusic940:20060213#p2で予告していたシリーズもの第1弾。っていうかこの忙しいのにこんな企画はいかがなものか。
まず断わっておくが、これは運指のレベルアップが必要な楽器の奏者が対象。他の人にも役立つかも知れないけど、それはオマケということで。

楽器の運指で必要なのは、『握力』と言われるが、例外的な特定の運指を除き、そうではない。『指が回る』ために必要なのは指のスピードであって、力ではないのだ。なので、一般的な意味での筋力トレーニングは必要ではなく、むしろ筋肉のしなやかさ、関節の可動性、を求めるべきであろう。そこで、ある意味でストレートな帰結として、ストレッチが重要、ということになる。

ここでは『指を回す』時のメインである親指以外の四指のストレッチを、2種類解説する。

指を動かす筋肉全体のストレッチ

右手のストレッチとする。

  1. 右手を『固いグー』にする。つまり、ただのグーではなく、四指の爪先が、それぞれの付け根の関節のシワに当たるように指を畳んで、そのままグーにする。これは一旦指をパーにして、根元から二つ目の関節から四指を畳み始めるとやりやすいかもしれない。
  2. その状態のまま、左手を上からかぶせて、右手の指が開かないようにする。ちょうど、『イエス様ぁぁぁ』とか『マリア様ぁぁぁ』とかいう『お祈り(または懺悔)のポーズ』の手と言えば分かるだろうか。人によっては『北斗天帰掌』と言うほうが分かりやすいかもしれない。
  3. その状態のまま、左手で右拳を内側に倒す。すると、右手首〜肘にかけての外側の筋肉が予想外に伸ばされるのがわかると思う。ただし、単にまっすぐ内側に倒すとおそらく皮とかが変に痛いだけなので、倒す向きを調節して、「ああ、伸びてるな」と思う向きを探そう。ちなみにオレは少し内側に捻るかんじで倒している。

これを両手で行う。

指をバラバラに動かすためのストレッチ

これも右手指のストレッチとする。

  1. 右手を普通にグーにする。前述のやつほど固くないグーで構わない、という意味。
  2. その右手をまっすぐ前に突き出す。
  3. 左手で、右人さし指をつまみ上げ、ぐいっと起こす。このとき、他の閉じている指(即ち中指〜小指)を、できるだけ動かないようにする。というか、中指〜小指をグーのままにしようと努力しながら、無理矢理左手で人さし指を起こす。
  4. 次は人さし指と中指。順次、一本ずつ起こす指を増やしていき、最後は四指とも起こす(掌全体を反らしたような感じになる)。
  5. 今度は左手で、右中指〜小指を起こした状態に固定したまま人さし指だけを閉じる。始めのうちは、かなりキツイはず。
  6. 次は人さし指と中指。これが一番『つーん』とくるはず。順次、閉じる指を増やしていく。最後はグーになるのでおしまい。

これを両手で行う。

特に2つめのバラバラストレッチは、慣れないうちは拷問のように感じるかもしれない。しかし、(いつになるかわからんが)次回に解説する予定の『しずくとばし運動』と合わせて続けていれば、1ヶ月ほどで驚くほど指が動くようになるはずだ。
レーニングとしてのストレッチだけでなく、ウォームアップとして、(練習であれ本番であれ)演奏前には必ずやっておこう。