『Ambitious Card』 Dai Vernon

先にお断わりしておくが、ここでぐちゃぐちゃ言おうとしているのは、カードマジック事典とかStars of Magicに載っている、レギュラーデックでやるやつのことである。フーディーニがキレたってやつではない。
アンビシャスカードは、いわばカードコントロールの極致という側面を持っている、ということは、好きな人も嫌いな人も、誰しも認めるところであろう。その側面がある故に、あまたのバリエーションが創り出され、それこそカードを扱うクロースアップマジシャンが、全員、各人各様のアンビシャスカードルーティーンを持っているという事態が生じているのだろう。かく言うオレも『普段使いのくしお版アンビシャスカードルーティーン』をよく演じている。
でも、それってバーノン教授は、草葉の蔭で号泣しておられるのではないだろうかという気がするのだ。
『バーノン教授が表現したかったこと』を、今一度考えてみようと思って、『事典』掲載の手順をおさらいしてみた。ポップアップやオムニデックに慣れてしまった感覚からすれば、確かに(ビジュアル的に)物足りないかもしれない。しかし、まだわからないのだが、何て言うかこう、バーベットみたいな、親しい間柄の人々とあーだこーだとやりとりしながらの軽妙な演技を目論んでいたのではないのかなぁ、という思いをあらたにした。不思議がらせる、というのとは別の目標というか、手品を肴にコミュニケーションを愉しむ、というような。
この日記を幸か不幸か見てしまった方々は、ぜひこの機会に、上記の参考文献を開いてみて欲しい。確かに両文献とも非常に分かりづらいのだが(苦笑)、各々のシークレットムーブがどうこうというよりも、そのつながり方を考えることで、そのムーブが何を表現するべきなのか、が分かってくるような気がする。オレが理解できてるのかどうかは分からないが、オレなりに解釈したバーノン教授のルーティーン、そのうちムービーで本家HPにアップしたいものだ。