最も簡単な3カードモンテ(?)のアレを上手く演ずる方法

とここで呼んでみたのは、要するに、id:DrMagicMusic940:20050418#p4で紹介した、よく安斎育郎氏*1が講演でデモンストレーションしてみせる『3枚の真ん中にある赤いカードを引いて、表向けると変化してる』ってやつのことだ。誰かこの作品の名前を教えて。

これ、『誰でもすぐできる手品』などと謳ったチープなネタ本などには必ずと言って言い程載っていて、なんか誰でも知ってるんじゃないかという気がするかもしれないが、実はイイ手品なのである。ただ、イイ演じ方をしている人となると、これは殆んど見ない。ゼンジー北京師も演じるが(そして前後の演目と関連を持たせた手順であるとは言え)、やや『使い捨て』の感が否めない。

そこで、たとえばこんな演出はどうだろう。

準備として、フェイス側から順に『ノーマル黒、ネタカード、変化した後のカード』の順にしておき、フェイスをこちらに向けた状態で取り出せるようにケースに入れておくことにする。また、以下の演出は、変化した後も赤いカードであることが重要。

  1. ケースからパケットを取り出す。「トランプを3枚もってきました。今から演るのは、手品と言うより、ちょっとしたゲームに近いものです」とか何とか言いながら、フェイスをこちらに向けて立てたまま、堂々と並べ換える。両手の四指をややバック側に伸ばし、『ちょっとゴソゴソするぞ』(by ゼンジー北京師)みたいなかんじで行うといいんでは?だってババヌキの時とか、みんなやるでしょこの並べ換え??
  2. 左手で『これ用のスプレッド』に構えて、「今、真ん中に赤いカードを持ってきました」と言って手首を向こうに倒し、フェイスを見せる。「この状況をよく覚えていて下さいね。できれば色だけじゃなくて、何のカードかもよく見ておいて下さい」と念を押す。
  3. 手首を元に戻し、フェイスをこちらに向ける。手首を返し、フェイスダウンで伏せながら、「こんなことをしてみましょう」と言って、真ん中のカードのバックを右人さし指で押さえ、テーブルに引き抜いて、裏向きのまま出す。
  4. 左手の2枚を裏向きのまま揃え、右手でテーブルのカードを同じように裏向きのまま持つ。ちょうど、Olram Subtletyで見せるときのような持ち方になる。
  5. この状態のまま、適当な『左手のカードと右手のカードを入れ換えたようなフリをするジェスチャー』を2回ほど行う。このへんの流れは、要するに、Ultimate Three-Card Monte*2で出てくるムーブである。
  6. 右手のカードをテーブルに伏せて置く。左手はギミック部が見えないようなスプレッドにして、フェイスをこちら向きにして、立てたままで持つ。「‥‥ここで、『さて赤いカードはどれでしょう!?』って聞いたら、普通はたぶん、このカード(テーブルのカードを指さして)だって言うと思うんですけど、どうですか?」と言うと、殆んどの場合、そうだ(「赤カードはテーブルのやつだ」)と言う。*3
  7. 「じゃあ、『普通の人』代表ということで、これをこのまま持って下さい」と言ってテーブルのカードを手渡す。「いっせーのーで、でひっくり返しましょう」と言って、お互いにひっくり返す(というかこちらはフェイスを見せる)。
  8. 「正解です!」といって、さっさと客のカードを取り上げ、必要ならば「あやしいものはすぐ片付けます」*4と言って、片付ける(!)。

あとはまぁ、せっかく付き合いで見てくれたんだし、正解者には軽く一杯奢っときましょうか(笑)

ギャンブルデモンストレーションの類では、観客が負けさせられる演出であることが多いので、勝ち目のない勝負に付き合わされた挙げ句に強制的に負けさせられる観客は、どう考えても不快な気分を味わわされる羽目になる。これをやっちゃうと、もうそれ以降は修復のしようのない『対決ムード』になるのは当たり前だ。このネタの場合、引いてもらって『ハズレでした』なんていう短絡的な演じ方をすれば、「ちょっとそのカード貸せや」となるのは当たり前だし、タネも単純で想像の通り、面目丸潰れの憂き目にあうのも当然の結果である。

そこで上のように『緩和』を意識してみたのだがどうだろう。ちなみにこれは普段オレが演じているやつなのだが、観客の反応からも、なんかそれらしくなったんじゃないかと思われる。

ショボいネタだと捨てずに、やってみて。びっくりするぐらいイイ反応が返って来るから。

*1:『騙し』に関して有名な立命館大学の先生。東大奇術研のOBだとか。

*2:別名:Million Dollar Monte

*3:もし別のカードを指されたら、「いやいや、今日は『普通の人』の役を演じて下さい(笑)」とでも言っておく。

*4:このセリフのオリジナルはムッシュ・ピエール師。