ふじい師 on 『ドリームビジョン』

正月に録画しまくったマジック関連番組について感想などを数日に渡って書いて行こうと思っていた矢先、緊急事態発生。それはこの番組。

『驚き丸秘映像ハンター ドリームビジョン』(読売テレビ、2005.1.9,20:00-22:00)

マギー審司師は、まぁ、おいといて(笑)、我が心の師匠と勝手に崇めているふじいあきら師である。
スーパースローカメラに挑戦!!というかんじで師が出演。師がその名を確立したMパスをカメラに暴かれるという話。某巨大掲示板では、主にこの点について批難轟々である。しかし私はちと違うと思っている。何度も録画を見直すと、周到に選ばれたネタであることがわかる。師の有名なワンコインルーティーンではスロー再生は行われず、Mパスのみを使った瞬間移動現象のみが取り上げられていることから、これはもともとそのために選ばれていることがわかるのである。ではなぜ師はMパスの公開に踏み切ったのか。これは、一つには、以前渋谷系の人々がMパスをTVで大々的にバラしたことも背景にあるが、むしろその後の番組進行でわかるように、「マジシャンってすげぇ」という流れになるように、つまりポジティブな言い方をすれば、一般には「仕掛け」のみと思われがち(即ちマジシャンの能力にはあまり目を向けられない)な状況に対し、マジシャンの「評価」を向上させる目的があってのチョイスと演技だったと思う。で、その目的ならば、ではなぜMパスなのか、という問題が生ずる。Mパスはもちろん師の「オリジナルムーブ」ではない。しかし、Mパスの場合、単独でフラリッシュ的に用いられることも多い技法であり、キートリックとして用いられるかどうかは演者次第とも言えるのである。そして敢えてそのMパスというムーブを明らかにした後でなおそれを含んだルーティーンを演じているところに、もう一つのポイントがある。なぜそんな「暴挙」とも一見思われるような行動に出たのだろうか?これは、師が必ずしも技法の開示がマジックの魅力を損ねるとは限らないと考えていることの証左であろうと思う。もちろん普段の言動から考えて、師がいわゆる「タネ明かし」を支持していないことは明白である。ここから導かれる師の考えとは?‥‥おそらく、師は「技法」は「タネ」とは限らない、と考えておられるのだろうと思う。そして、これは真理でもあると思う。なぜなら、適切に用いられた技法は、仮に技法の存在自体を知っていても気付かれないからであり(そのレベルでなければ観客を相手に演ずるべきではない)、しかもそれがマジックのトリックの中心であるとは限らないからである。師のワンコインルーティーンにおけるMパスは、まさにその好例なのである。師はおそらく、この行為を通じて、そういったマジックとトリックとテクニックの違いや位置関係を浮かびあがらせようと(そこまで明文的に考えていなかったとしても感覚的には)思って、この仕事を引き受けたのではないか、というのが私の結論である。

しかし、しかしである。師がコインについて上記のような考えをもってあの演目を選んだのならば、なぜカードのほうはL.C.S.(というかG.C.かな?)を選んだのだろうか?あれはまさしくL.C.S.という技法そのものがトリックそのものと言えるネタであった。これは、心の弟子として、何とも承服しがたい行動であったと言わざるを得ない。確かにカードマジックに関連する技法群において、上記した「ワンコインルーティーンとMパス」のようなうまい組み合わせはなかなかないと思う。しかし、だからと言ってそれは‥‥。あれだけ周到に計算されたコインネタの開示だったのに、カードでアレはないんじゃないですか師匠!?

oooooooo

ちなみに、ナレーションで「スーパースローカメラに暴けないトリックはないのである!!!」と言ってましたけど、アンタが暴けたのは違う角度で撮ったからですから!残念!!
‥‥あんな角度から見れば携帯のムービー録画でもオッケー斬りぃぃぃぃぃ!!!

oooooooo

拙者、さんざん文句言っときながら、スロー再生何度も見てレクチャービデオとして利用させて頂いてます‥‥切腹ーっ!!